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幅広い実技訓練と授業で
インテリアの基礎を習得
〔インテリア科(短期課程:6か月)〕 

 愛知県が設置・運営する公共職業訓練施設の一つである「名古屋高等技術専門校」では、就職を目指す人が実践的な技能や知識を習得するための多彩なカリキュラムを提供しています。
 今回は、住まいに関わる知識と技術を学ぶ「インテリア科」に注目。訓練の特徴や取得できる資格、そして未来へ羽ばたく訓練生たちの声を伺いました。


知識と技術をバランスよく習得 就職後の「引き出し」を増やす


 愛知県が運営する公共職業訓練施設である高等技術専門校。求職者向けの短期課程として名古屋高等技術専門校と三河高等技術専門校東三河校にインテリア科を設置しており、住宅の内装デザイン、リフォーム、施工管理などの知識と技能を学ぶことができます。今回は名古屋高等技術専門校を紹介します。

 インテリア科の訓練期間は6か月間です。カリキュラムの特徴は、学科目による知識習得に加え、6割から7割ほどの割合で実技訓練が組み込まれている点にあります。
 学科目では、建築の歴史やデザイン論、建築法規といった基礎知識を幅広く学習。実技訓練の内容は、CAD(コンピューターによる製図・設計)をはじめ壁紙の施工や木工実習まで、多岐にわたります。

 担当指導員は「訓練生は、建築やインテリアに関する作業や学びに対して未経験者が大半です。そのため、特定の分野に絞るのではなく、あえて幅広く学ぶ構成にしています。実技を通してさまざまな道具に触れ、コンピューターソフトや工具の基本的な操作方法や基礎知識を身に付けることが目的です。」と語ります。これは、インテリアコーディネーターや内装職人、家具製作、設計補助など、訓練生が自分に合った道を見つけるためのきっかけ作りを重視しているためです。

 さらに、進路の選択肢を広げるため、主要な資格の取得・合格へと導くカリキュラム構成にも注力しています。建築CAD検定をはじめ、福祉住環境コーディネーターやインテリアコーディネーターなどの資格を得ることは、就職時のアドバンテージになるのはもちろん、一人ひとりの自信にもつながっています。


インテリア科 担当指導員


 「実際に就職すると、業界や業種に合わせて、さらに専門的な知識や技術が必要になります。当校ではそのファーストステップとして、就職後に即戦力として活躍できるベースを作ることが狙いです。専門職の人との情報共有や意思疎通、意見の交換がスムーズにできるようになってほしいと考えています。」と就職後の現場を想定しています。

 例えば製図実習では、手書きによる図面作成をはじめ、CADや3Dソフトを用いた空間デザインも実践します。「短期間のため、オリジナルの設計図を作成できるレベルに到達することは難しいものの、図面を読み取る力や指示に従って図面作成できる力を養います。建築士の設計補助業務にも役立つはずです。」と担当指導員。


学科目のみならず 加工の難しさやモノ作りの喜びを体感

 木工実習では、図面をもとに椅子や箱などを製作します。図面通りの「おさまり(部材のすき間や段差の解消、設計通りの正確な施行や仕上がりの美しさ)」を目指すことで、加工の難しさを肌で感じることができます。


木材のカットなど基礎的な技術は反復練習によって徹底的に習得


課題の寸法通りに製品を作ることで工具の使い分けや「おさまり」 などを学ぶ


 取材でうかがった木工実習では、釘やねじなどの金属製金具を使わずに、木材と木材の組み合わせによって接合する「三枚組手」という伝統的な手法を用いて、収納箱を製作していました。わずかなズレやゆがみによって接合に支障が生じたり、箱の頑強さが損なわれたりするため、訓練生たちは真剣な眼差しで作業にあたります。
 
 作業はペアやグループとなり、互いに協力しながら完成を目指します。効率良く作業を進めるためにサポートし合うことはもちろん、自分以外の別の視点からの意見やアドバイスを得ることで、より精度の高いモノづくりに挑む姿が見られました。

 また、のこぎりやノミなどの工具を使う場面では、実作業のみならず、工具の扱い方や置き方、収納時の注意点など安全面への配慮も徹底されていました。


課題となる図面に合わせて正確に切る・削る・組み立てるという工程を実践


設備や工具が整った実習室


さまざまな工具の用途や特性を身に付けます



【習得をめざすスキルと主な訓練・支援内容】
● 図面
  ・手書き製図作業
  ・CAD作業
  ・3Dソフトによる空間デザイン
● 施工技術(材料の特性を知る、技術を磨く)
  ・壁紙(クロス)貼り実習
  ・木工実習(家具等の製作)
● 専門知識(プロとしての基礎を固める)
  ・インテリアデザイン概論
  ・製図の基本知識
  ・住宅の構造やリフォームに関わる基礎的な建築用語やルール
● 人づくり(社会への再出発を支える)
  ・履歴書・職務経歴書の作成指導
  ・資格取得支援
  ・就職相談(指導員によるマッチング)


訓練生の声

 「幅広い年代の仲間と切磋琢磨。新しい世界は毎日が新鮮です。」 (前職:児童館スタッフ)
 私はこれまで児童館の指導員として、小学生向けのワークショップの開催や学童保育などに従事してきました。派遣の契約期間が切れるタイミングで、かねてより関心のあったインテリアに関する仕事に挑戦したいと考えていた時、ハローワーク(公共職業安定所)で同校のインテリア科について知りました。
 座学、製図、実習など凝縮した密度の濃い訓練内容は未知の領域ばかりなので、ついていくだけで必死の毎日。例えば、何気なく目にしている壁紙にも、職人の技や理論が結集されていることなど発見の連続です。
 20代から60代まで幅広い年代の仲間と学べるという点も高等技術専門校ならでは。お互いに励まし合いながら、放課後に残って練習する時間など、私にとっては宝物のような経験になっています。
 修了後の目標は、リフォーム関連の会社へ就職することです。就職前に基礎的なことを学ぶことができ、将来へ向けて自分の意志も明確になりました。

 「大学での理論と、現場での実践がつながるおもしろさを感じます」 (前職:家具メーカー)
 もともと大学で建築を学び、家具メーカーで設計を担当していましたが、改めてモノづくりの基礎を固めたいと思い入校しました。
 同校では、大学時代に学んだ建築史や法規、デザインのことなどについて、要点を絞って丁寧に教えていただけるので、記憶を呼び起こしながら学ぶことができます。
 また、座学や図面上の理屈を、実習と結びつけて深く学び直すことができる点も魅力の一つ。例えば、CADで図面を引くだけでなく、実際に木を切り、壁紙を貼ることで、図面上の一本一本の線が持つ意味を実感できるようになりました。
 同校での経験を通して、選択肢が広がったと感じます。修了後の進路については、造り付け家具の設計や内装デザインなど、いろいろな可能性を想定して考えたいです。


関連資格取得へのサポートで就職を後押し

 名古屋高等技術専門校では、短期間の訓練を通して就職への道筋を確立するために、資格取得のサポートにも注力しています。授業内容そのものが試験対策に直結しており、大半の訓練生が在学中に資格試験に挑戦します。


【取得をめざせる主な資格】
・建築CAD検定(2級・准2級・3級)
・福祉住環境コーディネーター(2級)
・インテリアコーディネーター


 特に建築CAD検定は、実務で必須となるスキルにも通じることから、通常の授業に加えて資格試験対策の講座を開くなど特に力を入れている領域です。また、高齢化社会に伴いニーズが高まっている福祉住環境の知識は、設計補助やリフォーム営業の現場で高く評価されています。


企業との連携により 納得のいくキャリア形成を実現

 名古屋高等技術専門校の強みの一つとして、手厚い就職サポートが挙げられます。企業側との密な連携により、多種多様な企業から求人票が届くほか、企業訪問や企業を招いての合同企業説明会なども実施しています。
 主な就職先は、リフォーム会社の営業職や設計補助、ハウスメーカーのCADオペレーター、内装施工関連などです。名古屋高等技術専門校では、施工管理の領域を担う上で最低限必要になることを学べるほか、特定の分野についてさらに知識や技術を深めたい方にとっても、専門性を高めるための第一歩となります。

 担当指導員は「訓練生には、モノづくりの現場とそこに携わる職人への理解を深めてほしいと願っています。その上で技術や知識だけではなく、本校での学びを通して、自分で物事を考える力を培ってほしいと願っています。」と語ります。


修了生の声


天野 姫美子さん

 雑貨販売業に携わっていましたが、好きな分野で再出発したいと思い、転職を決意。ハローワークで相談したことがきっかけとなり、名古屋高等技術専門校へ入校しました。40代という年齢もあり、未経験の領域への転職に不安はありましたが、木材加工やCADなど基礎的な知識や技術を学ぶための環境が整っていたことで、集中して学ぶことができました。
 今は機械での加工や縫製を担当していますが、訓練で学んだCADの知識や操作方法、図面の読み方は、現場で欠かせないスキルとして役立っています。
 就職活動に際しても、先生方が親身に相談に乗ってくださり、エントリーシートや履歴書の作成など手厚いサポートで後押しをしてくれたおかげで、希望の会社へ入社できました。今は、目の前の業務をこなすことで精一杯ですが、充実した日々を送ることができています。




 舞台美術、画材販売などの経験を経て名古屋高等技術専門校へ入校しました。元々パースなど絵を描くことが好きで、インテリアの知識を深めたいと思ったことが動機です。
 現在は家具など木工製品の加工や塗装作業を担当していますが、訓練で学んだCADの操作や、木材・工具に関する基礎知識が非常に役立っています。特にクロス張りの実習など、幅広い技術に触れられたことも自信につながりました。また技術面だけでなく、先生や訓練生仲間との交流を通じて、人との関わり方を改めて見つめ直せたことも、自分にとって大きな変化でした。
 学校側のサポートのおかげで、第一志望だった木工職の仕事に就職。専門校で学んだ基礎を土台にして、現場での経験を積み重ねることで、さらなる高みを目指して取り組んでいきたいです。」


鷹野 仁さん

採用企業の声(有限会社 片桐産業・水戸さつきさん)

 名古屋高等技術専門校で開催されている合同企業説明会への参加を機に、名古屋高等技術専門校修了生の天野さんと鷹野さんを採用しました。
 天野さんは木工加工や縫製、鷹野さんは塗装という慣れない現場を任せているので、苦労することも多いと思いますが、2人とも非常に意欲的に取り組んでくれています。
 特に訓練校で「Jw_CAD」というCADソフトの基本操作を習得している点は、受け入れ企業として大変助かりました。当社でも同じソフトを使っているためすぐに仕事に活き、即戦力として活躍してくれています。
 また、木材や工具の基礎知識、基本的な加工技術がある点も、現場を任せる上で安心感があります。職人の高齢化が進む今、技術を継承してくれる人材が必要です。世代を問わず、やる気がある方なら大歓迎です。今後も意欲のある修了生をぜひ採用していきたいです。



DATA


名古屋高等技術専門校
所在地:名古屋市北区安井二丁目4番48号
電話:052-917-6711

 職業能力開発促進法に基づき、愛知県が設置・運営する職業能力開発施設。授業料は短期過程は無料(※普通課程は年間授業料6万円)。実習重視のカリキュラム、資格取得に向けた支援、手厚い就職サポートを特色として、就職に役立つ職業スキルや知識の習得、並びに希望する職業やキャリアアップへと導きます。
 また近年は、オーダーメイド型スキルアップ講座の受け入れにも積極的に対応。各種団体や個々の企業の要望に応じ、訓練内容、日程、講師を個別に設定して実施しています。

普通課程

2年コース
 組込みシステム科
 建築デザイン施工科
1年コース
 モノづくり機械科

短期課程

6カ月コース
 インテリア科
 メタルクラフト科
1年コース
 電気機器科
 総合造園科

知的障害者向け職業訓練

1年コース
 総合実務科

名古屋高等技術専門学校ホームページ

(令和8年7月取材)