名古屋高等技術専門校
めざそう モノに命を吹き込む仕事
組込みシステム科:普通課程(2年)
愛知県立名古屋高等技術専門校は名古屋・尾張地域拠点校であり、新規の学校卒業生向けの
「普通課程」(1年また2年)、離職・転職を目指す人たち向けの「短期課程」(6か月または
1年)を用意。
『建築』、『情報』、『機械』、『金属』、『インテリア』、『電気』、『造園』、全7分野
の訓練科で、仕事に求められる技術・技能習得をめざします。
今回は、モノづくりの盛んな愛知県の生産現場において人材ニーズが高い『組込みシステム科』に注目。
名古屋高等技術専門校におじゃまし、訓練課長の小田文之さんに訓練について伺いました。
便利な暮らしは『組込みシステム』のおかげ
システム開発に興味はあるが、「組込みシステムって何?」と思った方も多いのではないでしょうか。『組込みシステム』とは、携帯電話やスマートフォンをはじめ、テレビや洗濯機といった家電・自動車・製造ロボットなどに組み込まれているコンピューターシステムのこと。例えば、自動車が歩行者や障害物を検知し、自動的にブレーキをかけたり、回避したりするシステムもその一つ。
こうした内部の基盤に書き込まれたプログラムに従い、家電製品や産業機器などを正しく動作させる組込みソフトウエアの役目は、どんどん重要性が増し、人材ニーズも高まっています。こうしたことを背景として『組込みシステム科』では、日常生活やビジネスをより便利に、効率的にするうえで必要不可欠となってきているシステムを開発し、モノに組込む技術者の育成を目標に訓練を行っています。
訓練は【ソフトウエア開発(プログラミング)】、【ネットワーク】、【電気・電子】の3本柱です。プログラム言語をはじめ、
インターネットの知識、サーバーやルーターなどの知識、電気回路や電子回路の知識など、基礎から学べるので専門的な知識が
なくても安心とのことです。
システム開発の手順(企画・設計・製作・テスト)、通信機器を用いたネットワーク構築の手法や電子部品を使った組込み機器の作成など実習から知識と技術を身につけ、訓練生はソフトウエア開発技術者、プログラマー、ネットワークエンジニアなどの職種への就職をめざします。
現役の外部講師の指導でリアルを学ぶ
おじゃました際、1年生は『ネットワーク施工基礎』の試験中でした。課題は、無線ルーターを設定し、インターネットの接続環境を施工すること。企業などオフィスのネットワークを想定して、パソコンからルーター2台を経由してプリントができるように各機器の設定を行っていました。
一方2年生は、『プロジェクトマネジメント』の実習中。3〜4名がチームとなり、リーダー役の訓練生を中心に、Androidで動作するアプリケーション開発に取り組んでいました。
この実習では、開発スケジュール、役割分担をチームで話し合って決め、進捗状況の管理や課題への対応を経験します。開発しているのは、プログラミングを行って、『ブロックで作った車をスマートフォンで操作する』アプリケーション。動作が正常か、画面のレイアウトや操作性に問題はないかなどを訓練生は確認し、微調整を繰り返します。
実習を指導するのは、現役のエンジニアとして働く外部講師の方。この訓練科では、外部講師の実習が充実しているそうで、「現場の経験に基づくアドバイスがもらえてありがたい。現場で働く人の生の声を聞くことができるのは貴重な機会だ」と訓練生は話していました。
活気に満ちた訓練 仲間との出会い
この訓練科ではグループワークで課題に取り組む実習が多いのも特徴です。課題ごとにメンバーを変え、いろいろな人と話す機会を増やすことで、実際に働くことを想定したコミュニケーション能力の向上をめざしているそうです。
訓練の集大成として半年間かけて取り組むのが修了課題です。1年半の成果を発表する場として、4〜5名のチームに分かれ、製品づくりに取り組みます。
これまでの修了課題では、探索ロボットや自動走行車、配膳ロボットなどの作例から選んで製作していましたが、今年は、訓練生自身がテーマを決めて、製作を行うそうです。
今回見学して一番印象的だったことは、訓練生が楽しそうに実習に取り組んでいることです。
また、『組込みシステム科』の訓練生は、高校を卒業後すぐに入校した人が多いそうです。「ものづくりが好き」という共通項から仲間意識が育まれ、訓練中、とても活気が感じられました。
訓練生の声(20代 男性)
「実習が楽しくて、毎日が充実しています」
入校した理由は、システム系の仕事に就きたいと決意したからです。実習の楽しさを感じるのは、できなかったことができるようになったときです。わからないことを自分で調べたり、仲間と試行錯誤したりしながら課題に取り組むことにも訓練のしがいを感じています。
技術面ももちろんですが、成長したと感じているのは、コミュニケーション能力です。チームの課題発表などでは、相手の反応を意識しながら話すことの大切さを学びました。
訓練の成果もあり、希望するシステム開発の企業から内定をいただくことができました。訓練期間も残りわずかですが、もっと訓練を続けたいと思うほど毎日が充実しています。
訓練課長からのメッセージ(小田 文之さん)
「リアルにモノを動かす楽しさを感じてほしい」
自分の作ったプログラムで、モノが動く楽しさ、喜びを感じてほしいと思います。そこから成功体験を積み重ね、難しかったことができるようになることが職業訓練です。個々の特性に合わせて就職まで支援しますので、興味がある人はぜひトライしてください。全力でサポートします。
修了生の声(20代 男性 組込みエンジニア)
高校の授業で簡単なプログラムを組んだことがあり、もっと学んでみたいという思いから情報系の技術を学べる学校を探したところ、一番就職率がよく、一番学費が安かったため入校を決めました。
訓練では、分からないことや疑問に思ったことを、理解できるまで指導員の方に丁寧に教えていただき、身につけたC言語の知識は、入社試験やコード(プログラム)の変更作業、新たな言語学習の基礎として役に立ちました。
訓練に加え、就職活動に向けて試験対策を行い、アピールポイントとなる『基本情報技術者試験』に合格することができ、また、指導員の方の積極的なサポートもあり、第一志望の会社から内定を得ることができました。
ここでの学びにおいて仲間の励ましがあったからこそ、課題や就職活動に最後まで取り組むことができたと思います。
修了生が働く事業者様の声
『組込みシステム科』の修了生は組込みに対して体系的な教育を受けているので、基礎を十分に理解できていると思います。また、訓練を通してコミュニケーション能力も培われているので、自身の知らない技術や分からない事を積極的に先輩社員に質問して理解し、次に繋げられていると思います。
初めてのことにも数多くチャレンジできているので、これからの活躍が楽しみです。
DATA
愛知県立名古屋高等技術専門校(名古屋市北区安井二丁目4番48号)
訓練科
- 建築デザイン施工科(普通課程・2年)
- 組込みシステム科(普通課程・2年)
- 機械エンジニア科(普通課程・1年)
- 金属加工科(短期課程・6か月)
- インテリア科(短期課程・6か月)
- 電気機器科(短期課程・1年)
- 総合造園科(短期課程・1年)
- 在職者を対象とした職業訓練「スキルアップ講座」、知的障害者を対象とした「総合実務科(1年)」も行っています。
ステップアップへ導く ~高等技術専門校の魅力~
- ■授業料無料・・・短期課程は授業料が無料、普通課程でも授業料は年間6万円。
- ■知識・経験がなくてもOK・・・経験豊富な指導員が、一から丁寧に指導。
- ■実技重視のカリキュラム・・・年間1,400時間の実習量。一人一台の実習装置を使用できる環境で経験を重ね、実践力アップ。
- ■実務に役立つ資格を取得・・・就職活動でスキルをアピール。仕事をしていく上での技術の証明。
- ■就職を最後までサポート・・・ハローワークと連携した支援や指導員による個別相談、キャリアコンサルタントによる面談など充実のサポート。専門校が企業から直接受けた求人もあり。