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可能性を広げる機械設計・製図分野の技能
〔3Dモデリング科:短期課程(6か月)〕

 令和7年4月に三河高等技術専門校へリニューアルする岡崎高等技術専門校は、三河地域のモノづくり技術者・技能者の養成を目的とした訓練機関です。
 モノづくりの盛んな愛知県では、機械設計分野における人材ニーズも年々高まっています。そこで今回は、県内の高等技術専門校では岡崎高等技術専門校のみに設置されている『3Dモデリング科』をご紹介します。


機械設計分野の基礎からスタート





3次元CAD操作実習風景



 3Dモデリングとは、ソフトウエアを使って立体的に表現された3次元の物体を作成する技術です。その技能を身につける『3Dモデリング科』では、CAD(2次元・3次元)を使いこなし、機械設計や図面作成の実践力を身につけた人材を育成します。
 訓練生の年齢層は20代から60代まで。設計に関する知識の全くない人から、以前2次元CADで設計に携わっていたという人まで幅広いとのこと。女性からの関心も高いそうです。
 訓練では、初めの1か月間で、設計に必要な基礎知識や機械製図のルールなどを学び、2か月目から、2次元CADを使って図面を作成します。3次元CADを扱うには、図面を読むチカラを身につけることが大切であるため、2次元CADで立体の形状を理解することから進めています。
 次のステップでは3次元CADの操作方法を学び、3Dモデリングの技能習得を目指していきます。3次元CADで立体化したデータが図面どおりであるかを確認するために、3Dプリンタで試作したものを組み立て、実際に形にして検証するまでを行います。
 「CADはもちろん、3Dプリンタに興味を持つ人が増えています。本校では自由作成の実習を設け、訓練生が思い思いの設計にトライして3Dプリンタで試作する時間を用意しています」と指導員の沼尾昇宗さんは話していました。




3Dプリンタ


3次元CADによる 3Dモデルの作成


3Dプリンタで作成した試作品



現場に即した実践力の習得


 『3Dモデリング科』では、多くの自動車関連企業が実際に使用している3次元CADソフト(CATIA   V5)で経験が積めることが特徴です。教育訓練機関では導入しているところが少なく、修了生(又は訓練生)は操作に慣れており、設計を意図したモデリングができることが就職活動の強みになっているそうです。
 そんな魅力の一つである3次元CADの実習を拝見すると、訓練生は、サーフェスというモデリング手法に取り組んでいました。






 これは、3次元CADで線と線を結んでできる面のみで表現する手法です。複雑な形状のモデルを作るのに向いているため、自動車のボディのような滑らかな形状や機械部品の複雑な形状などを作成するには必要なスキルとのことです。
 訓練は、まず指導員の手順書に基づいて訓練生全員が一斉に作業を進め、次のステップでは個人個人で、もう一度同じ課題に取り組みます。ここには、手順書に頼らず自分で考え作業していくチカラを身につける狙いがあるそうです。
 6か月の訓練期間で最後に取り組む総合実習の課題は、グループに分かれて担当を決め、設計やモデリングを担当。最終的に一つの作品を作り上げ、成果を発表します。   
 「機械設計分野の仕事はチームで行うものです。当校ではグループワークの時間も設け、より実践に近い形で訓練を行っています」とのことでした。


総合実習で作成されたカプセルトイ




作成したカプセルトイの部品の図面
総合実習では設計からモデリング、モデルの試作、組み立てまでのプロセスすべてを行う



資格取得目標

●技能検定(機械・プラント製図3級)
●CAD利用技術者試験

目指す主な職業

●機械設計補助者
●CAD/CAMオペレーター
●NC工作機械オペレーター



訓練生の声(20代・男性)


「できることが増えるたび成長を実感」

 前職は自動車整備の仕事をしていて、自動車の製造に興味を持ち、製造のモデリングでスキルを磨きたいと思ったことが入校の理由です。設計についての知識がなく、当初は将来のビジョンも見えませんでしたが、訓練生の中には設計分野の経験者の方もいて具体的な仕事内容などを聞くことができ、職種への理解が深まりました。指導員の方はもちろん、経験者の方から操作について教えていただくこともあり、とても心強いです。今では図面を見て立体形状がイメージできるようになり、操作スキルも成長したと実感しています。将来は、自動車部品の設計に携わる仕事に就きたいです。


修了生の声(40代・前職:鋳鉄加工)

「訓練での経験が今の自信に」

 自動車部品メーカーの委託を受け設計業務を担当しています。自動車部品の試作品の寸法作成や評価作業に用いる治具(部品を固定したり、作業のガイドになる器具)の設計、3Dプリンタでの出力などの業務に、訓練の成果が役立っています。段階を踏まないと就けないと思っていた開発の仕事に携われるのも、指導員の方や専門校のサポートがあったおかげです。今後も経験を積みながら、より深くモノづくりを学び、さまざまなものを吸収していきたいと思っています。そして「人が驚くようなモノ」をつくれる技術者を目指していきます。

修了生の声(20代・前職:自動車整備士)

「訓練生同士の情報交換で就活の不安を解消」

 自動車部品メーカーのアウトソーシングで、製品の試作品が設計どおりに機能するか、耐久性があるか、使用しやすいかなどを確認する作業を行っています。訓練を受けてよかったと思うことの一つは、モノづくりの楽しさを改めて実感できたこと。そして就職支援として行われている企業説明会を通して、自分のやりたいことを見つけることもできました。就職活動には訓練生の仲間と情報を交換しながら取り組むことで、不安解消につながったと思います。専門校で学んだ経験を活かし、さらに良いモノづくりに携わっていくことが今の目標です。

修了生が働く事業所の声(スターワークス東海株式会社)

「向上心を持ち続けていることが魅力」

 専門校で学んだ人たちは、必要とされる技術の基礎を習得しており、また、自ら入学を決断し、技能習得を目指しているからこそ向上心もあり、意欲的に仕事に取り組む姿勢を高く評価しています。
 自分なりの意見を持ち、アイデアの提供にも熱心です。仕事を楽しみながらも、常に成長していこうという姿を頼もしく感じています。



指導員からのメッセージ(訓練課 技師 沼尾 昇宗 さん)


「繰り返し操作して、経験値を高めることが大切」

 訓練生は、初心者から設計分野の経験者まで幅広くいます。初心者にはわかりやすく説明し、経験者にはレベルアップを目指した新たな課題に取り組んでもらいます。専門知識のない方は迷われるかもしれませんが、モノづくりが好き、図面を読んで考えることが好きな方であれば大丈夫です。操作は何度も経験することで身につきます。ぜひ、ここで学んだ知識を自信にして、就職につなげてほしいと思います。




INFORMATION

令和7年4月、三河高等技術専門校へリニューアル



 岡崎高等技術専門校は、建物の老朽化にともなう建替え工事が完了し、令和7年4月から三河地域の拠点校として、新たに三河高等技術専門校へリニューアルします。
 地域のニーズを踏まえた専門校の集約とともに、これからの時代に即した人材育成に対応するため、『ロボットシステム科』と型枠・鉄筋工事等の施工技術や施工管理など建設業で必要なスキルを習得する『建築物施工科』を新設。
 現在、東三河高等技術専門校で実施している、基本加工・軸組み等の一般住宅に関する施工技術やCAD製図などを学ぶ『建築総合科』を移設し、『住居建築科』としてスタートさせます。


DATA


愛知県立岡崎高等技術専門校(岡崎市美合町字平端24番地)

訓練科

●機械技術科(普通課程・2年)
●住居建築科(普通課程・2年)〔2025年4月開講予定〕
●ロボットシステム科(普通課程・1年)〔2025年4月開講予定〕
●金属加工科(短期課程・6か月)
●3Dモデリング科(短期課程・6か月)
●電気工事科(短期課程・1年)
●総合造園科(短期課程・1年)【豊田市で実施】
●建築物施工科(短期課程・1年)〔2025年4月開講予定〕
●総合実務科(短期課程・1年)【知的障害者対象】
●在職者を対象とした職業訓練「スキルアップ講座」も行っています

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