「自分たちで作り上げた」——結婚式場の仕事で見つけたもの
ウエディングの仕事といえば、結婚式全体を企画・演出するプランナーのイメージが強いかもしれません。でも結婚式場では、プロデューサー、スタイリスト、サービススタッフ、キッチンスタッフなど、実はたくさんの役割の人たちが関わっています。
今回3人の生徒が体験したのは、その中の「サービススタッフ」の仕事。式が始まる前に会場を一から作り上げ、お客さんをもてなす仕事です。自分たちの手で何かを作り上げる喜びを、3人はこの体験の中で見つけていました。
え、そうなの⁉ 知らなかった結婚式場のヒミツ
体験初日、まずオリエンテーションで式場の仕事について教えてもらいました。そこで生徒たちが特に驚いたのが、1日に行われる式の数です。「多くても1日1組くらいかな」と思っていたら、披露宴会場が2つあるこの式場では、同じ日に最大5組もの式が行われているというのです。スタッフたちは式が終わるたびに猛スピードで会場を片づけ、また一からセッティングしています。「式と式の間に、あんなに広い会場を全部セットし直しているなんて、想像もできなかった。」——その大変さに、3人は目を丸くしていました。
自分たちで会場を作った! テーブルセッティング体験
オリエンテーションの後は、実際に仕事を体験。披露宴会場のテーブルにクロスを敷き、カトラリー(ナイフ・フォーク・スプーンの総称)を並べていきます。
ナイフやフォークはどこに置いてもいいわけじゃない——テーブルの手前の縁から「親指の第一関節分、空けて置く」というルールがあります。自分の親指をテーブルにあてて、その分だけ内側に置く。これがプロの「ものさし」です。生徒たちも親指をあてながら、一本一本丁寧に並べていきました。
テーブルによって座る人数が違うため、1人分のスペースをどう割り付けるかが毎回変わります。「全員分をうまく収めるには、どれくらいの間隔にすればいいんだろう。」と頭を悩ませながら、何度もやり直し。でも、繰り返すうちに手つきがどんどんスムーズになっていきました。
「やるたびに上手になっていくのが、自分でもわかった。」そう話す顔には、達成感がにじんでいました。「カトラリーを並べているとき、結婚式に自分が関われているという感覚があって、自分が並べたものを使って料理を食べてもらえるのがうれしい。」という言葉も出てきました。
すべての設営が終わったとき、スタッフから「がんばったね。この会場、みんなが全部設営したんだよ。」と声をかけてもらいました。すると3人は「イエーイ!」と声をあげて大喜び。「披露宴当日、自分たちがセッティングした会場にお客さんが来るのを見てみたい。」——自分たちの手で作り上げた喜びがあふれ出たような瞬間でした。
プロの技に歓声! お皿を出すサービス体験
続いてはサービスの模擬体験です。まず、スタッフが手本を見せてくれました。
片手に3枚のお皿を持ち、お客さんの前にすっと差し出す——その動きがとてもスムーズでかっこよくて、生徒たちから思わず歓声と拍手が起きました。
さあ、生徒たちの番です。お皿3枚はさすがに難しいということで、生徒が挑戦するのは2枚持ち。
お皿を水平に保ちながら、お客さん役の生徒の前に静かに差し出す——やってみると、これがとても難しい。お皿をテーブルに置くことに集中すると、もう片手に持ったお皿が傾いてしまう。傾けないように気をつけると、今度は動きがぎこちなくなってしまう。「お皿を水平に保つのが本当に難しかった。料理がのっていたら崩れたり、ソースがこぼれたりしてしまいそう。」と苦戦しながらも挑戦していました。
スタッフは、生徒たちの様子をこう振り返ります。「会った瞬間から、やる気がビシビシ伝わってきました。初めての作業ばかりなのに、説明をしっかり聞いてすぐに動ける。それってなかなかできないことなんですよ。会場設営のような地道な作業も、3人とも一つひとつを楽しんでやってくれていました。」休憩中に「すっごい楽しい!」、「ここでアルバイトをしたい!」と話す姿も印象的だったといいます。
体験を終えて
「職場体験に来る前は、ウエディングの仕事に憧れてはいたけれど、なんとなくぼんやりした気持ちでした。でも、実際に体験するなかで、気づいたら、やりたいという気持ちがどんどん強くなっていました。」
一生に一度の特別な舞台を作り上げることに自分も関われた——その喜びの中に、ウエディングの仕事のやりがいを見つけたようでした。
働く人の声 ララシャンスOKAZAKI迎賓館 サービスクリエイター 奥山 日和さん
Q. この仕事のやりがいは?
お客様が「ここで結婚式を挙げてよかったです。」と目に涙を浮かべながら笑ってくださった瞬間は、本当にやりがいを感じます。お客様が伝えたい思いや叶えたいことを形にして、「今が最高に幸せです。」と思っていただけること、それがやりがいです。
Q. 大変なことは?
「結婚式」を創り上げるということは、幸せな時間や想い出を創るということです。そんな目には見えないものを創っているからこそ「本当にこの選択で喜んでいただけるだろうか。」、「どうしたら満足していただけるだろうか。」という悩みと常に向き合っています。結婚式は一生に一度。やり直しがきかないからこそ、際限のない責任感と向き合っています。でも、その大変さの先にお客様の笑顔があると思えるから続けられる仕事です。
Q. ブライダルスタッフを目指す中学生へ
友達の誕生日に「どうしたら喜んでくれるかな」とサプライズを考えたりプレゼントを選んだりするのが楽しい、そして実際に喜んでもらえたらすごくうれしい――そんな気持ちがある人は、きっとこの仕事も楽しめると思います。知識は後から身につけることができます。それよりも、誰かを幸せにしたいという思いが大切だと考えています。目の前の人に寄り添い、その人を喜ばせたいという気持ちを持つみなさんと、将来一緒に感動を創れる日を楽しみにしています。
この仕事を目指すなら
| こんな人に向いている | 人を笑顔にすることが好きな人。 誰かの笑顔や幸せを、自分自身の幸せだと感じられる人。 |
| 進路のルート例 | 中学校・高校卒業後、 ・ブライダル専門学校(2年程度)で専門知識を学んでから就職 ・大学を卒業後、就職。就職してから専門知識を習得 |
| 必要な資格 | 特になし ※ブライダルに関する国家資格や民間資格はあるが必須ではないので、 資格がなくても目指せる。 |
取材にご協力いただいた企業 ララシャンスOKAZAKI迎賓館
岡崎市にある「ララシャンスOKAZAKI迎賓館」は、JR岡崎駅前にある結婚式場です。「いつでも帰ってこられる場所」をコンセプトに、結婚式の日だけでなく、人生の節目に寄り添い続けられる場所づくりを大切にしている式場です。
(令和8年5月取材)





