中学生あつまれ!ミライに広がる進路講座


 「愛環」の愛称で親しまれている愛知環状鉄道。愛知県の西三河地域から尾張東部地域を結ぶこの鉄道会社で、鉄道に乗るのも撮影するのも大好きという生徒が職場体験にチャレンジしました。

 生徒がやってきたのは新豊田駅。駅の助役・成田さんに案内され、まず向かったのは、北野桝塚(きたのますづか)駅。ここで見学したのは、列車の切り離し作業です。
 運転士と車掌が声を掛け合い、お互いに安全確認をしながら慎重に切り離し作業を進めます。生徒は成田さんの説明に耳を傾けながら、その一連の作業をじっと見つめていました。



 続いて列車に乗り込み、憧れの運転士の仕事を間近で見学。運転士を目指しているという生徒は、運転席後方の窓から、運転士が一つひとつの動作を指差して丁寧に確認しながら運転する様子をしっかりと目に焼き付けていました。お客様の命を預かる緊張感と、仕事への真剣な姿勢を、運転士の背中から感じ取ったことと思います。




 新豊田駅に戻ると、普段は立ち入ることのできない駅の仮眠室を見学しました。24時間体制で働く駅員は、営業終了後に仮眠を取りますが、その時間はわずか3時間ほど。束の間の休息を取って早朝勤務に備えます。
 この仮眠室には、遅刻が絶対に許されない駅員の"秘密兵器"がありました。それが自動起床装置です。設定時刻になると、布団の下の空気袋が膨らんだり縮んだりして、寝ている人の背中を反り返るほど持ち上げるため、寝続けることは不可能なのだとか。
 「仮眠時間の短さは知っていましたが、やっぱり大変な仕事ですね。でも職員の皆さんと話していると、明るくて楽しそうに働いているのが印象的です。」
 生徒の中で、鉄道の仕事に対するイメージが少しずつ変わってきているようでした。


 いよいよ駅ホームでのアナウンス業務に挑戦です。駅員の制帽をかぶり、ホームで電車を待つお客様に向けて案内放送を行います。



事前練習の成果は果たして・・・?




 「今度2番線に到着する列車は高蔵寺行きです。危険ですので、黄色い線の内側でお待ちください。列車は2両編成で到着します。足元の乗車位置番号1番から2番の前でお待ちください。」
 堂々とした声で、間違えることなく案内放送を完了!成田さんをはじめ駅員からは「バッチリ!」、「上手だ!」と絶賛されました。
 ホームにいたお客様たちも、生徒のアナウンスが終わると「よく頑張ったね」というようにうなずいて、温かい笑顔を向けてくれました。
 生徒にアナウンスした感想を聞いてみると、「普段できない体験ができて、とても楽しかったです。でも恥ずかしかったです。電車を利用する側からだと、『アナウンスしているな』ぐらいにしか思わなかったのですが、駅員さんの気持ちが少しわかった気がしました。」


 ホームでの業務体験中、停車中の列車の車掌から出発前の安全確認作業を教わる場面もありました。列車が出発する際、車掌から「職場体験がんばってね。愛環で待ってるよ。」との言葉が。それを聞いた生徒は、とても嬉しそうな表情を浮かべていました。






券売機や改札機の仕組みも見学しました


 最後は改札での窓口業務です。改札を通るお客様に「ありがとうございます」と声を掛けたり、運賃の精算をしたりして、充実の職場体験が終了しました。



 体験を終えた生徒に話を聞くと、「職員の皆さんの話を聞いたり、実際の仕事ぶりを見たりして、改めて鉄道の仕事の大変さを実感しました。それでも、列車を運転したいという夢は目指したいです。今日の体験で、その気持ちがより強くなりました。」
 将来への具体的なイメージをつかめた、実り多い一日となったようです。


愛知環状鉄道株式会社
新豊田駅 助役 成田 朝一 さん

 「職場体験で一番学んでほしいのは、『あいさつをしっかりとする』ことです。」と話す成田さんは、あいさつの大切さをこう話します。「社会人としての基本中の基本であり、相手に与える印象も大きく変わります。特に鉄道の仕事では、お客様の安全確保や円滑な運行のためにも、あいさつは欠かすことのできない重要なコミュニケーションなのです。」



 職場体験の最後に、中学生へメッセージをいただきました。
 「中学生の皆さんは、これからどのような人生を歩むかまだ分からないと思います。でも、この職場体験を通して『鉄道の仕事ってこんな感じなんだ』ということを感じ取ってもらい、もし鉄道が好きなら、ぜひその道を進んでもらいたいです。」
 実は、これまでに愛知環状鉄道で職場体験をした中学生の中から、実際に社員として働いている人もいるのだそうです。
 「今回体験した生徒さんにも、夢に向かって頑張ってもらいたいと思います。たとえ将来的に方向性が変わることがあっても、この体験を人生に活かしてもらえれば、それが何よりです。」


愛知環状鉄道株式会社


2000系電車


新豊田駅舎


 愛知環状鉄道は、愛知県と沿線4市(岡崎市、豊田市、瀬戸市、春日井市)が共同で設立した第三セクター鉄道です。西三河から尾張東部の中核都市を結び、JR東海道本線・中央本線と接続して中京圏の環状機能を担っています。沿線の企業や大学への通勤・通学利用が多く、岡崎城ややきものの街・瀬戸などの観光地へのアクセスにも便利な路線です。
 「ひと・まち・地域をつないで走る」鉄道として沿線地域に貢献しています。

(令和7年9月取材)


その他のメニュー