『緊張して声が出ない』 接客の難しさを実感
「いらっしゃいませ!」
大きな声が響くここは、名古屋市昭和区にある『きしめん家天むす 比呂野(ひろの)』。飲食店で働いてみたいという生徒二人が、このお店で職場体験に臨みました。
お店の制服に身を包み、まず取り掛かったのは開店前の準備。テーブルや椅子、店頭のショーケースの拭き掃除、お茶の準備などを行いました。
お店のスタッフの指示に従い、テキパキと開店準備をする生徒たち。その姿に、「お願いした作業をすばやくやってもらえて、開店準備がはかどって助かる」とお店の方は微笑んでいました。
午前11時。開店時間を迎え、いよいよ接客に挑戦です。
お客さんが来店すると、お店のスタッフからは「いらっしゃいませ」と威勢のよい声が聞こえますが、生徒たちからは、なかなか声が出てきません。
どうしたのか尋ねてみると、「大きな声を出すのは簡単だと思っていたが意外と難しかった。緊張から声が思った以上に出なかった。」、「初めての人と接するのが苦手なので、『いらっしゃいませ』を言うのが恥ずかしかった。」と、初めての体験に戸惑っているようでした。
その様子をみた店長は、お店が大切にしている接客の精神や基本である挨拶について説明し、「声をワントーン上げる」、「マスクで表情が見えないので、大きく笑い、目元から笑顔に」というアドバイスをすると、生徒たちは早速実践していました。
店長のアドバイスを真剣に聞く生徒たち
お店が大切にしているスタッフ全員で共有している
『おもてなし精神』をまとめたもの
また、料理ができあがるとゆっくりとテーブルまで運び、何度も確認した料理名をお客さんに伝えて提供していました。「お客さんに料理を出すときは待っていただいているので、『お待たせしました』と伝え、『ごゆっくりどうぞ』という言葉を添えると丁寧だよ。」とお店のスタッフに教えてもらっていました。
スタッフからお客さんへの接し方を学んだ二人は、お客さんが来店するとお茶を運んだり、注文を取りに行ったりと、積極的に取り組んでいました。
この日の昼食は、自分たちで作るきしめんと天むす。きしめんのゆで方やエビの天ぷらの揚げ方、天むすの握り方の指導を受けながら昼食作りに挑戦です。時には生徒同士で教えあいながら、料理をする姿が見られました。
店長の指導を受けながらきしめんを
ゆでる生徒
天むすに使用するエビを揚げる生徒
お店おすすめメニュー
かつカレーきしめん
ご飯の量やのりの巻き方などを教えあいながら天むすを握る生徒たち
苦戦しながらも何とか形に仕上げることができた
自分で作った料理は格別だったようで、きれいに平らげた生徒たち。「このお店によく来ているのですが、いつもたくさんのお客さんでにぎわっているのでお店の人は大変だなと思っていた。実際に働いてみると、想像以上にやることが多くてビックリした。」、「やらなければいけないことが山ほどあって、イメージどおり飲食店は忙しかった。」と、生徒たちは体験したからこそわかる接客の難しさや働くことの大変さをかみしめていました。
また、「お客さんの目を見て話すのは楽しかったし、『がんばってください』と言ってもらえてうれしかった。職場体験をしたことで、興味のあった接客業を将来やってみたい気持ちになった。」と、目を輝かせながら話してくれました。
きしめん家天むす 比呂野
店長 北瀬 雄紀さん
「積極性があって、わからないことはしっかりと聞いてくれるし、教えたことは進んでやってくれて、お店での体験から学べることがあったかなと思う。働く姿勢や取り組みがすばらしかった。」生徒たちの印象をこう語るのは、店長の北瀬さん。
「今回の体験を通して社会に出て働く楽しさを知ってもらえればと思う。また、自分の経験上、大変なことでも自分が好きなことだから踏ん張れたので、将来仕事を選ぶ上で柱となる、自分が楽しいことやしたいことを見つけるきっかけになれば」と生徒たちを応援していました。
きしめん家天むす 比呂野
昭和48年創業の株式会社比呂野が運営する店舗。
きしめん・天むすの他に、喫茶、とんかつ、うなぎといった名古屋めしを提供する飲食店を運営しており、いずれも地域の人に愛される川名を代表するお店である。
また、飲食事業のみならず美容やペットフード事業にも進出し、多角経営を行っている。
(令和7年1月取材)





