【求職者向け】就活WEB講座



 今回は連載の第3回となります。これから就職活動を始めようとされている学生の皆さんや、キャリアの転機が身近となりセカンドキャリアを考えておられる中高年齢の皆さんへの応援エールとなるような、キャリア形成と就職活動に役立つような「夢の実現のための心掛け」的な話を中心に、今回もよもやま風にお話ししていきます。


1. セカンドキャリアについて考える


 セカンドキャリアとは、定年や転職を考え始めた時や、リストラに遭遇したようなキャリアの転換時期などの際に、自分の価値観やビジネススキルを再考し、ライフステージに合わせた働き方について見直しを行い、新たな挑戦を始めていくことです。育児を機に働き方を見直しリモートワークを取り入れていくことや、定年後に社会貢献を目的としたNPO法人を設立して地域活動に参加するようなことも含まれてきます。
 殊にセカンドキャリアを意識するようになる50歳代・60歳代について考えてみます。これらの世代でのセカンドキャリアについては、「定年後を見据えて準備を早めにスタートし国家資格などを取得して展開した」「大企業での豊富な経験を活かし社会貢献重視のキャリア選択を行い、中小企業の経営アドバイザーとなる」「長年の趣味を仕事にして副業を始めた」などが、よく取り上げられる事例です。もっとも、これらについては興味を注ぐものではありますが、少数事例に留まり理想的な面が強調されているようにも思えます。



 実際的には、「公的年金までのつなぎ生活の確保」や「個人のビジネススキルのレベル感の違い」、あるいは「まだ子どもに学費がいるなどの個別事情による経済格差」などの要素を考慮せざるを得ないものであり、介護退職などの予想外の緊急的な要素も加わってしまうこともあります。したがって、セカンドキャリアは開放的なイメージがありますが、それとは程遠いなかなか窮屈な感を拭い切れない場合も多々あります。
 また、総務省によると、令和6年の65歳以上の就業者数は過去最多の930万人で、10年間で248万人増加しています。野村総合研究所が50歳代・60歳代の就労者を対象とした調査においては5割以上が「あと5年働きたい」との意向を示しており、今後もこの傾向は増加する可能性が高いとされています。結論的にはこの年代については、人生の集大成として自分の価値を最大化していくキャリア選択がポイントとなります。


2. 近年の新卒採用の動向を検証する


 企業の新卒採用の方式は、高度経済成長時代から続いている4月定期採用入社が中心ながらも、近年では通年採用や第二新卒採用と多様化し、中途採用者も雇用の適正流動化の進展に伴い通年採用の実施が常態化しています。
 このような中で、昨今の新卒採用の状況は、人材不足感が高まる中で、企業間の採用競争は激化しており、いわゆる「売り手市場」となっています。少子化による若年労働人口の減少に加え、企業側の優秀人材の不足感の高まりが後押しの要因です。いわゆる就活ルールは、経団連のものは平成30年に廃止されています。現在のものは、政府の要請により大学生(短大生)については、広報活動解禁日が「大学3年の3月1日以降」、採用選考活動開始日が「大学4年の6月1日以降」とされていますが、これらには法的な拘束力や罰則はなく、まさにお願いベースの原則でしかありません。この傾向は現在の良好な景況感が続行すれば、益々加速していくと思います。



 また、新卒採用の採用手法も多様化が進んでいます。従来は、就活ナビサイトや個別又は合同企業説明会が多数を占めていました。新型コロナ禍以降は、オンライン面談が普及し、対面面談と併用したハイブリッド型を採用する企業も多くなり、地理的制約を超えて全国の学生との繋がりが可能となりました。新卒紹介サービスを活用したものや、職種別採用(ジョブ型雇用)、インターンシップのような学生の実践力やマッチ度を見極める手法も一般的となっています。そして、ダイレクトリクルーティング(人材データベースやビジネスSNSを活用し直接学生と連絡する)や、ざっくばらんに話し合い理解を深めるカジュアル面談、新卒紹介予定派遣など採用後のミスマッチを防ぐ採用手法も活用されています。これらは大手企業を中心に採用の目的や段階に応じて使われており中堅企業にも拡大しています。いわば使える手段は全て駆使して採用活動を行い、優秀人材の確保を図っていこうということです。



 ここまでお話したところで水を差すようで恐縮なのですが、歴史は繰り返すというか、コンドラチェフの波(50年周期)やキチンの波(40カ月周期)などの景気循環の経済理論でも明らかなように、経済状態は永遠ではないのです。平成20年秋のリーマンショックによる景気の急速な冷え込みによる求職難や、平成31年春の新型コロナ禍による急速な求人規模の縮小を常に忘れないようにしておく必要があります。「上り坂 下り坂 まさか」に気を付けて欲しいものです。


3.キャリア形成と課題解決スキル


(1)思うようなキャリア形成ができるヒト、できないヒトの立ち振る舞いを検証してみると、いわゆる仕事ができる者かそうではない者かという境目を同じくすることが共通しています。仕事ができる者のビジネススキルの基軸が課題解決スキルであり、課題を発見することで仕事の8割は終わったのも同然といわれています。したがって、企業研修でもこの課題解決スキル研修は、私が知っている限りでは40年以上も前から必修テーマとなっています。キャリア形成においても、このスキルを持ち合わせていることで、自己のペースで、「自ら気づき 自ら考え 自ら行動する」という、積極的なキャリア開発とキャリア形成をマネジメントすることができ、有利性を保てます。



 そして課題解決スキルのキーワードは、何といっても「気の利くヒト」であり、気の利くヒトは単なる性質のことではなく、気が利くことが課題発見の基底だからです。これは、平成18年に経済産業省が提唱した、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」といった、社会に出てからも渡り合っていける、あるいは様々な場面で活躍できるとされる三つの能力である社会人基礎力に、プラスワンする位置づけにあります【図を参照】。


【社会人基礎力プラスワン】


出所:中川直毅編著 『要説キャリアとワークルール』 三恵社 2019年 33頁の図を引用


(2)この話を聞いて、「自分にはそんなスキルはない」と落ち込む必要はありません。課題解決スキルの本質は課題を発見していくことが得意になればよいのであり、そんな方々が沢山おられるはずはありません。それならば企業研修で幾度も課題解決スキル研修などをやる必要がないからです。できない社員や少ししか分からない社員が多いから研修会社も繁盛しているのです。
 課題解決の真骨頂は、課題発見の「心構え」を常に持っていることが、日々積み重なって自然に身につくのが遠回りでも一番手っ取り早いかもしれません、いわば「急がば回れ」式です。何が真の問題や課題であるかに「気づく」ことが肝ですので、発見感度を敏感にしておくことがビジネス活動(日常生活)の心構えといえます。積極的なキャリア開発及びキャリア形成において、常に「課題意識を持つ」ことは極めて大切なことです。

 次に課題解決スキルを実践的に高めていくにはどのような習慣づけが良いのか、私の経験からではありますが、幾つか実践してきたトレーニングをご紹介しておきます。



①指摘される前に課題を見つける

 課題解決スキルを駆使して、先手で問題を発見するには、常日頃から、自己の行動やその環境に対して、「良くなる方法はどのようなものか」「何が根本的な原因なのだろうか」などとWhy、Whyの問題意識を持っていることが役立っていきます。なお、上司が与えた課題や外部から飛び込んできたクレームなどに対応することは至極当然のことで、上司や他人から指摘されるまでもなく自らが積極的に課題発見に努めて対応していくべきものです。 

 ②学びの高さは感知度に比例する

 実践を積んだ高い専門知識があると、普通の人には見えない、通りすがりのものであってもハッキリと見えてきます。本格的な専門知識を持っていると、課題の見立てができ(リスクを予想)、その大小を判断して優先順位をつけていけます。このような専門知識は、比喩すると課題発見レーダーの感度を高くし、探索範囲も拡大してくれるということです。



 この感度を高めるには、業務などに関連する都度の知識を系統化して勉強することや、今後に起こるであろうことの予測を立てて、その分野に関して継続的に勉強していくことで、知識を深め、経験を積み重ね、学んだ領域を複線化(パラレル)していくことが可能となり感度が高まります。


4.大切な企業研究



 企業向けの就職活動において、新卒採用の場合はエントリーシートを、中途採用の場合は職務経歴書を提出することになりますが、いずれでも自己PRや志望動機などをそこに記載し、面接などではこれらに基づいて質問が行われます。面接の場では自己PRはしっかり対策を講じ与えられた時間一杯に話をする方が多いのに、面接の最後にある「何か質問はありますか」という問いに、「とくにありません」あるいは「入社までに何かやっておくことはありますか」と頓珍漢に聞いてこられる方がなんと多いことでしょうか。前者はそれまでに幾つか質問していたら問題ありませんが、そうでなければ不合格が垣間見えるケースであり、面接担当者には「貴社に興味はありません」の代言のように聞こえてくることでしょう。後者についても無理にひねり出したのが明らかで、自分で考えることですよと言われるのがオチです。


 いずれについても、ご自身のことはどんどん推してくるのに企業のことは関心がないという風な構図になってしまい、自己のアピールも単なる「自分語り」になってしまいます。これでは業界研究だけでなく企業研究についても、いかにも疎かというかお粗末この上ないことです。企業は「自社でどのように活躍でき、成果をあげてくれるのか」を測りたいのです。


 したがって、希望の企業に採用して欲しいのならば「業界研究・企業研究」をしっかりしておくことが必須キーワードとなります。とりわけ企業研究は最も大切なもので、就活の中で大変重要なウエイトを占めているのです。学生であれ中途採用者であれ、特定の企業を様々な角度から知ることができ、理解を深めること、そして自分のやりたいことと適切にマッチングしているのか判断することが可能です。
 企業研究の情報収集ポイントは、「事業内容」「業界内の立ち位置」「その企業の強みと競業他社との違い」「経営理念や社風」「事業方針やその展開」「求めるべき人材像と人材育成プラン」「福利厚生」の七つとなります。特に人材育成プランは人事部が聞いて欲しい項目だと思います。自らの部署が考案しているからです。



まとめ


 今回の話では、キャリア形成を自己の夢の実現として、有利にマネジメントができ得るビジネススキルがあることに注目して下さい。これを可能にするためには課題解決スキルを鍛え上げる努力をしてもらえればと思います。誰でもができる努力は、どんなことでも継続させていくことです。小さなことの積み重ねが大きな結果を生むことに繋がっていくと思います。よもやま話、今回も熱心に読んで頂きありがとうございました。