サポート施設におじゃまします!


がんばるあなたの気持ちを 自信へつなぐ

〔CAD設計科(障害のある方対象/4月入校/1年)〕
〔総合実務科(知的障害のある方対象/4月入校/1年)〕

 『愛知障害者職業能力開発校』は、訓練を通して身体的な障害をはじめ、知的障害、精神障害、発達障害のある方の就職支援を行っています。施設は、障害のある方に配慮した設備を整え、サポート体制も充実しています。
 今回は、障害者職業能力開発校におじゃまし、訓練内容や特徴についてお聞きしました。





車いす使用者同士がすれ違える
ゆとりある廊下幅

廊下すべてに 車いすが壁に衝突
するのを防ぐ緩衝材を設置

車いすが3台乗れるエレベーターも
完備



多くの先輩たちが活躍中『CAD設計科』



 『CAD設計科』は、主に機械製図の知識やCAD(コンピュータ上で図面の作成を行うためのツール)を使用した設計製図の実技を学ぶコースです。訓練生は、車イスの方、聴覚や脳機能の発達に障害がある方など、様々な方が訓練に取り組んでいます。


 
 機械製図の訓練は、手書きで線を描くことからはじめ、課題を写しながら図面を描く上で必要となる基本的な知識と技術を覚えていきます。
 担当指導員の方は、「実線や点線の意味、寸法の描き入れ方など、基礎から指導しています」とお話しされています。



    手書きで製図を行うためのドラフター(製図台)
      手が不自由な人のために足を使って
                   製図できる仕様もある



 おじゃました2次元CADの実習では、訓練生一人ひとりにパソコン1台が割り当てられ、課題に取り組んでいました。1対1で指導員からアドバイスを受けている訓練生の姿もありました。











 また、聴覚に障害のある方は、タブレット端末を見ながら課題を進めていました。その画面には、指導員が話す説明やアドバイスが文字に変換され表示されていました。

聴覚に障害のある方が使用しているタブレット端末の画面




 一人ひとりの状態や理解度などを見ながら訓練を進めているため、訓練生それぞれが異なった課題に取り組んでいるそうです。みなさん真剣な表情で作業に励んでいました。
 この訓練校の特徴の一つは、訓練生が使用する3次元CADソフトにあるそうです。その3次元CADソフトは、トヨタ系企業をはじめ、現在もっとも現場で使われているソフトだといいます。早くから使い、慣れることで、就職の際のアピールポイントになるとのことです。
 この科で技能を身につけた先輩の中には、『アビリンピック(障害者技能競技大会)』の国際大会に出場した方もいます。中には、健常者が参加する『若年者ものづくり競技大会(原則20歳以下で、企業に就職していない若年者)』に出場し、敢闘賞を受賞した方もいるそうです。こうした先輩たちの活躍が訓練生の励みになっているとのことでした。


【めざす主な職業】

●機械設計技術者
●機械CADオペレーター
●CADアシスタント


[訓練生の声](30代・女性)



「人生設計が以前より明確になりました」

 訓練は、いつでも質問ができ、自分にあったペースで指導していただけるのでありがたいです。前向きな気持ちで取り組むことができ、人生設計を明確にすることができました。
 今後の目標は、機械設計の職に就くことです。そのために今、技能検定の合格を目指してがんばっています。



自分らしい働きがいを探そう『総合実務科』




清掃作業

環境整備作業


 『総合実務科』は、知的障害の方を対象にしたコースです。訓練の主な内容は、『清掃(掃き掃除、拭き掃除、ワックスがけ等)』、『アシスト作業(バックヤード、製造、物流等の補助)』、『環境整備作業(草刈り、せん定等)』です。
 伺ったときは、アシスト作業の訓練でした。指示書に従い、レタスの包装、リンゴの袋づめなどに訓練生が取り組んでいました。この他にも、部品の組み立てや書類の封入などの訓練があるそうです。
 訓練は、まず指導員が手本を見せ、手順やコツを説明。作業を覚えることから始め、商品や道具の準備から後片付けまで、一連の流れを身につけます。一人ひとりの理解度などに心をくばりながら、その人に適した課題に取り組んでもらっているそうです。






アシスト作業の実習風景



 担当指導員の方は、「さまざまな訓練の目的は、自分の得意な作業を見つけることです。また、一人の作業、みんなで行う作業も経験し、自分に適した仕事、得意な作業を見つけ、その成果を仕事につなげていくことが私たちの役割です」とお話しされています。
 また、この科の指導で大切にしていることは『報告・連絡・相談』。失敗した時は指導員に報告し相談する、作業が終われば報告する、こうしたビジネスマナーの基礎を身につけることも訓練の目的の一つとのことです。





 さらにこの科で重要視していることは、体力づくり。体力づくりは、作業を継続して行うための持続力を維持するためにも必要です。そこで、『体力トレーニング』をカリキュラムに組み込んでいます。
 またここでは、体力づくりの一環として、訓練のほとんどを立ったままで行っています。長時間立ち仕事を続けられる訓練生の体力は、就職先の事業者からも高い評価を受けているそうです。
 「企業が求めている人材は、休まず、遅刻せず、出勤する人。自己管理ができている人です。それを身につけてもらうために、生活指導員を中心に『社会生活向上学習(自分で身の回りのことや健康管理を行うこと等)』を訓練に取り込み、サポートしています」とのことでした。


【めざす主な職業】

●清掃業務員
●倉庫内作業員
●工場内作業員
●事務補助員


手厚いサポート体制&充実した施設環境

■相互理解を深める職場実習
 障害のある方の就職には、事業者の理解が不可欠。そこで、同校では『職場実習』に力を注いでいます。必要に応じて指導員または就職支援員が同行し、実際に業務を体験する中で相互理解を深めていきます。職場実習の経験は、訓練生の意欲向上につながっているとのこと。職場実習をきっかけに就職する訓練生もいるそうです。

■看護師や心理相談員も配置
 安心して訓練に取り組めるように看護師や心理相談員が常駐しています。心身の管理をサポートするスタッフが身近にいることが、訓練生にとってもご家族にとっても安心といえるようです。

■通校が困難な方のために寄宿舎を用意
 自立した生活は行えるが通校が困難な方は、寄宿舎の利用が可能です(対象:ITスキル科・OAビジネス科・CAD設計科の訓練生)。食事は、施設内の食堂でとります。




食堂

ラウンジ


 各部屋にはベッドや収納、机があり、身の回りのものだけで入居できるので経済的です。聴覚に障害がある方には、放送を知らせるランプを備えた部屋を用意。スロープ付きの大浴場やトイレ・オストメイト用トイレなどの生活設備も揃えています。舎監室につながる呼び出しボタンが各所にありますので、緊急な場合も安心です。




収納完備の部屋

放送を知らせるランプ
(聴覚に障害がある方の部屋に設置)



手すりやスロープを完備した大浴場


DATA

 国立県営 愛知障害者職業能力開発校(豊川市一宮町上新切33-14)

 国からの委託を受け愛知県が運営する施設です。一般の職業能力開発施設での訓練が困難な障害のある方々を対象にした訓練科を用意し就職の支援を行っています。

●身体障害、精神障害、発達障害等の方が対象の訓練
 ITスキル科(4月入校/1年)
 OAビジネス科(4月・10月入校/1年)
 CAD設計科(4月入校/1年)
●知的障害の方が対象の訓練
 総合実務科(4月入校/1年)
●精神障害・発達障害の方が対象の訓練
 ワークサポート科(4月入校/9か月)
 就業支援科(1月入校・3か月)
●在職中の方を対象にした「スキルアップ講座」も行っています。


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