雇用セーフティネット対策訓練(名古屋・三河高等技術専門校)
愛知県では、離職者や若年未就職者などを支援するため、「雇用セーフティネット対策訓練」を実施しています。この訓練は県立の高等技術専門校が民間の教育訓練機関などに委託して実施するもので、求職中の方が訓練を通じて新たな知識・技能を身に付け、早期就職ができるよう支援しています。
「雇用セーフティネット対策訓練」には、「長期高度人材育成コース」や「知識等習得コース」、「日本版デュアルシステム対応型訓練」などがあります。
今回は「長期高度人材育成コース」の「保育士養成科」と「介護福祉士養成科」を紹介します。
国家資格取得と早期就職を目指す
「雇用セーフティネット対策訓練」の中でも、国家資格を習得し、正規就職を目指すのが「長期高度人材育成コース」です。訓練期間は保育士、介護福祉士、調理師、言語聴覚士、自動車整備士が2年、精神保健福祉士と社会福祉士が1年となっています。
対象となるのは、公共職業安定所(ハローワーク)に求職申込みをした人で、就職のために訓練が必要だとハローワークが認めた人です。
受講に当たって、言語聴覚士、精神保健福祉士、社会福祉士を目指すコースでは、4年生大学を卒業している必要があります。その他のコースは高等学校を卒業していることが条件となります。また、原則として55歳未満の人が対象ですが、保育士と介護福祉士を目指すコースは55歳以上の人も応募できます。
制度の利点について、名古屋高等技術専門校の猿渡みおりさんは「この制度の一番の特長は、受講料が無料(テキスト代等自己負担額が必要なコースあり)であることです。さらに一定の要件を満たす方は、雇用保険の失業給付を受けながら受講できるため、経済的な負担を抑えて専門的な資格を取得し、早期の就職を目指すことができます。」と説明します。
名古屋高等技術専門校の猿渡 みおりさん
【保育士養成科】
子どもたちとの豊かな触れ合いが叶う環境
保育士養成科は、愛知県内で現在3校が受入れ校として委託されており、令和8年度からは岡崎女子短期大学(令和8年4月から「岡崎短期大学」へ名称変更)が加わって4校になる予定です。
今回レポートをするのは名古屋市東区にある「名古屋文化学園保育専門学校」です。昭和20年創立の名古屋女性文化クラブを前身とし、昭和27年に名古屋文化幼稚園を開園、昭和29年に幼稚園教員養成所を開校した歴史ある学校です。ここでは、雇用セーフティネット対策訓練の受講生を毎年受け入れており、現在20代前半から60代まで幅広い世代の受講生が制度を利用して学んでいます。
保育士養成科の特色について、学校法人 名古屋文化学園の加藤紳一郎理事長は「当校の強みは、卒業と同時に幼稚園教諭免許と保育士資格、両方の国家資格を取得できる点です。同一敷地内に附属の名古屋文化幼稚園があるため、子どもたちとの活発な交流、豊かな触れ合いの中で学べることが魅力です。」と話します。
学校法人 名古屋文化学園 加藤 紳一郎理事長
カリキュラムには、1年生から実習が組み込まれています。例えば、マジックミラーを通して保育室の様子を観察し、先生と子どもたちの関わりを学ぶマジックミラー観察実習、給食実習、運動会や遊戯会の見学実習など、多彩な実践の場が用意されています。
さらに、こども図書館や中庭など幼稚園との共有スペースを多く設けています。中庭越しに幼稚園のランチルームの様子が見えたり、吹き抜けになった保育室の上部を通る通路から園児たちの姿を目にしたりと、日常的に子どもたちを身近に感じられる環境です。
夢を叶えて新たな一歩を
社会人経験を経て転身 受講料免除で学業に専念
実際に雇用セーフティネット対策訓練の制度を利用し、名古屋文化学園保育専門学校で学ぶ受講生2人にお話をうかがいました。
1年生 辻村 華乃さん
自動車関連企業で2年働いた後、人の成長に携わる仕事に就きたいと保育の道への転身を目指して受講。「受講料が免除になるので、学業に専念できることはとてもありがたいです。また、敷地内に幼稚園があるため、リアルな現場の雰囲気を身近に感じることができ、子どもたちと触れ合う機会が多いので就職後のイメージが湧きやすいです」と辻村さんは話します。
「 “先生が担任で良かった”と、卒園時に園児や保護者から言ってもらえるような先生になりたい」と夢を語ってくださいました。
2年生 白井 麻規子さん
白井さんは、派遣会社の事務職を退職後、再就職先を探している時に雇用セーフティネット対策訓練のことを知り、一念発起。「部屋の掃除をしていたら、偶然、小学校の時の文集が出てきて“夢は幼稚園の先生”と書いてあったんです。訓練制度の中に保育士養成科があることを知り、運命だと思いました」と振り返ります。
母としての顔も持つ白井さんは、学びの楽しさをこう話します。「授業を受けていると、無我夢中で取り組んできた子育てと知識が結びついて、いろいろなことが腑に落ちます。育児経験を思い出しながら、学びの一つひとつが答え合わせのような感覚で楽しい。」
こども園への就職が決まっている白井さんは「育児経験者として、保護者の方の気持ちにも寄り添える保育者になりたい」と抱負を語ってくれました。
訓練修了と同時に国家資格取得で新しい扉を開く
雇用セーフティネット対策訓練の修了生に関して加藤理事長は、「就職先からは、保護者対応や電話応対、社会人としてのマナーなど人生経験の豊富さから、即戦力として高評価をいただいています。」と話します。雇用セーフティネット対策訓練を利用した多くの修了生が、生き生きと輝きながら保育者として活躍しているのです。
制度を利用し、令和2年3月に保育士養成科を修了後、名古屋文化幼稚園に就職したAさん。「学生時代から保育に携わる仕事をしたいと考えていましたが、卒業後は信用金庫に就職。その後、娘を出産して保育園に通うようになると、諦めかけていた夢への情熱が再燃しました。生活面や金銭面からなかなか決断することができずにいましたが、雇用セーフティネット対策訓練のことを知り、背中を押された気持ちでした。」と振り返ります。
「保育の仕事は、子どもたちをお預かりする責任ある仕事であり、同時に子どもたちの成長する姿を間近で見られるやりがいのある仕事です。学校の課程修了と同時に幼稚園教諭免許と保育士資格を得たからこそ、今の自分があると実感します。この仕事に興味のある人は、制度を利用してぜひ挑戦してください。」
加藤理事長は「性別も年齢も問わず、多様な方々が制度を利用して学び、当校を修了して保育や幼児教育の現場で活躍されています。ぜひ子どもと関わりたいという思いを抱いている方は、夢を諦めることなく、制度を有効活用して学びに来てください。きっと、新たな歩み、第二の人生への扉が開けるはずです。」というエールを送ってくださいました。
DATA
名古屋文化学園保育専門学校(名古屋市東区白壁1-54)
長い歴史と伝統をもつ保育の専門学校。文部科学大臣・厚生労働大臣指定校であり、所定の単位を履修することで国家試験を受験することなく「幼稚園教諭免許」「保育士資格」を取得できます。また充実した教育施設と講師陣、実習重視のカリキュラムによって、保育現場で即戦力として活躍できる幼稚園教諭・保育士を養成しています。
電話:052-962-9113
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【介護福祉士養成科】
愛知県内では現在、介護福祉士養成科の受け入れ先として4校が委託されています。今回は、名古屋市中区にある「日本福祉大学中央福祉専門学校」をご紹介します。
平成元年に開校した日本福祉大学中央福祉専門学校は、福祉教育のパイオニアである日本福祉大学のグループ校です。介護福祉士を養成する専門学校として全国で最初に開校した学校の一つであり、愛知県内では最も早く設置されました。
現在は介護福祉士科のほか、言語聴覚士科、精神保健福祉士短期養成通信課程、社会福祉士科通信課程を開設し、多様な福祉・医療専門職を育成しています。
※雇用セーフティネット対策訓練では、介護福祉士養成科、言語聴覚士科が対象です。
幅広い年齢層が共に学ぶ環境
同校には、1年生と2年生の合わせて約100名が在籍。一般入学の学生、雇用セーフティネット対策訓練の受講生、そして留学生が一緒に学んでおり、年齢層も高校卒業直後から60代まで幅広いことが特徴です。
福祉を志す仲間との世代を超えた交流が自然に生まれていて、年上の受講生は若い学生の相談相手となり、若い学生は社会性を早く身につけることができるなど、互いに学び合う環境になっているそうです。
徹底した実践教育で即戦力を育成
学校最大の特色は、「現場ですぐ働ける」実践的な技術指導にあります。
介護技術を学ぶ生活支援技術の授業では、少人数制を採用。「介護技術の指導では、少人数制をとらないところが多く、また個別ケアに対応できるオリジナルな手順書を活用している学校は他にはないと思います。」と、同校介護福祉士科の板部美紀子学科長は話します。
介護福祉士科 板部美紀子学科長
カリキュラムも充実しており、国が定める介護福祉士養成課程の総授業時間数1,850時間を大きく上回る約1,980時間を確保。介護技術と介護過程(利用者一人ひとりに合わせた介護計画を作成・実践し、評価する一連の思考プロセス)に特に力を入れ、現場で必要とされる力をしっかりと身につけることができます。
その成果は実習で表れています。実習先で「実習生ながら、一人で充分に技術を任せられると評価された。」、「他校の学生から利用者の状況を質問された際、利用者の原状を考察をふまえて説明できた。」など、学生たちは高い技術力を身につけて卒業していきます。実習を終えた学生からは「最後の実習は、知識と実践が身についていることが実感でき、余裕をもって臨めたので、とても楽しくて終わりたくなかったです。」という感想もあったそうです。
国家試験対策も手厚くサポート
介護福祉士の国家試験対策も、少人数クラスできめ細かく指導。1年生の7月から模擬試験を実施し、早期から本番を意識した学習を進めます。
現場で働く非常勤講師も交えながら、実務経験豊富な教員がしっかりサポート。この手厚い支援により、毎年高い国家試験合格率を誇ります。
また、手話検定や認知症ケア指導管理士など、介護福祉士以外の資格取得も支援。就職支援では、履歴書の書き方、マナー講座、模擬面接の実施など、徹底した就職サポートを行っており、就職率は毎年100%を達成しています。
訓練生の声
大学時代に祖父の介護を2か月ほど経験して、人の役に直接立てる実感がありました。自動車のシステムエンジニアとして働いていましたが、28歳の時、その経験が忘れられず、介護の道への転身を決意しました。
雇用セーフティネット対策訓練を利用して、受講料免除と失業手当を受給しながら2年間学びました。
授業では、ベッドから車椅子への移乗一つとっても、想像以上に気をつける点やコツがあることを実感しました。実習では、授業で学んだ基本的な技術を、現場に適したバージョンにブラッシュアップできました。授業と実習の相乗効果で技術を身につけられたと思います。また、高齢者の方とのコミュニケーションにやりがいを見出せました。
卒業後は老人保健施設に就職予定です。学校で学んだことをどれぐらい活かせるか楽しみです。
2年生 池邊 達彦さん
11年間、病院の受付事務として働いてきましたが、60歳という節目で新しいことに挑戦しようと決めました。受付では患者さんと密に関わることはできませんでしたが、介護職なら患者様に寄り添い、何かして差し上げられる。医療現場で介護福祉士の方々が働く姿を見ていたので、技術を学べば安心して働けると感じました。
ハローワークで雇用セーフティネット対策訓練のことを知り、受講料免除というのが魅力でした。訓練は大変ですが、毎日新しい知識を学ぶことがとても楽しいです。習ったことがテレビや雑誌に出てくると、知識が身についていると実感できます。
障害者施設での実習が控えていますが、利用者の方と一緒に楽しく過ごすことができる介護を行いたいです。
1年生 天野 智美さん
“年齢を重ねてからでも、さらに成長できる” それが福祉の仕事
最後に板部学科長は、「人生経験を積んだ世代の方々も、利用者に寄り添った介護ができると現場で喜ばれています。介護の現場では利用者の方々から学ぶことがたくさんあります。年齢を重ねてからでも、さらに人間的に成長できる、それを実感できるのが介護・福祉の仕事です。」と話してくださいました。
DATA
日本福祉大学中央福祉専門学校(名古屋市中区千代田3-27-11)
平成元年開校、愛知県で最も伝統のある福祉・医療系の専門学校です。母体の日本福祉大学とともに10万人を超える福祉人材を輩出。36年の歴史で培った教育ノウハウと充実した実習環境で、介護福祉士・言語聴覚士・社会福祉士・精神保健福祉士を目指す方を支援します。
電話:052-339-0200
日本福祉大学中央福祉専門学校 ホームページ
雇用セーフティネット対策訓練 名古屋高等技術専門校 雇用セーフティネット対策訓練 三河高等技術専門校
(令和8年1月取材)
