サポート施設におじゃまします!


『板金』と『溶接』で、働きがいを手にしよう
〔クラフト溶接科(6か月)〕

『独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構愛知支部 中部職業能力開発促進センター(愛称:ポリテクセンター中部)』では、求職者支援の取り組みとして、製造業・建設業を中心に11の訓練コースを用意しています。
今回は、ものづくりに興味のある方におすすめのコース『クラフト溶接科』にフォーカス。その魅力について迫るため、ポリテクセンター中部におじゃましました。


自動車・建築・造船など、活躍の場が広い『溶接』を学ぶ


被覆アーク溶接



炭酸ガスアーク溶接


レーザ加工




 『クラフト溶接科』は、自動車産業をはじめ、様々なものづくりの現場で活躍できる人材の育成を目指すコースです。訓練は『板金』と『溶接』の2本柱。6か月間、1日6時間の訓練では、図面の読み方から、板金加工や様々な種類の溶接の実習まで行い、技術を身につけます。
 まずは、穴あけや研削作業(砥石(といし)で表面を削り取る加工)など、金属加工の基本からスタートします。板金では機械板金・プレス作業の機械操作などを習得。特徴の一つは『レーザ加工』の訓練を行っていることです。全国のポリテクセンターで実施している施設は少ないそうです。
 溶接では、鉄やステンレスの溶接で一般的な『炭酸ガスアーク溶接』、建設現場などの屋外で主に使われる『被覆アーク溶接』、薄い金属(3mm程度)の溶接で活躍する『TIG(ティグ)溶接』など、様々な現場のニーズに対応できる溶接技術を訓練します。



技術向上の秘訣は経験を重ねること





 取材した際はTIG溶接の訓練中でした。驚いたことは、火花がバチバチ飛ばないこと。溶接というと火花を散らしてバチバチと音を立てて行うことをイメージする方が多いと思いますが、TIG溶接は、そのイメージとは異なります。溶接を行う際に使用するトーチと呼ばれる道具と材料とのすき間に、強い青白い光を放つだけで、火花や音は出ません。
 TIG溶接ははんだ付けに似ていて、片手に溶接トーチ、片手に溶加棒を持って溶接します。両手を使って作業を行う必要があるので、他の溶接に比べて難しいそうですが、何度も練習することで、確実に技術の向上が見込めるそうです。
 このように練習環境がポリテクセンターでは整っているため、存分に練習ができます。



ものづくりの世界で幅広く活躍


 『クラフト溶接科』の受講生が目指すのは、溶接工や板金工、製缶工としての就職です。その中でも溶接は、人材ニーズの高い分野とのこと。多品種少量生産を行う製造現場では、ロボット溶接なども普及していますが、まだまだ人間の手(技術)が求められる職種です。
 また、ものづくりの現場で必要な専門用語が身につくため、機械操作や営業業務など、専門職以外の様々な職種で活躍できるそうです。令和6年5月に訓練を修了した10名の就職率は100%。仕事の選択肢が広がることにメリットを感じている受講生も多いようです。
 現在、就職活動に取り組みはじめた受講生は「機械の名前はもちろん、製造現場で使われている言葉が理解できるようになっただけでも自信になっています。志望先の担当者の方と話していても会話が弾み、一度、会社見学に来てくださいと誘われました。」と手応えを感じていました。



ほとんどの受講生が初心者 訓練コース説明会へ行ってみよう!



 『溶接』と聞くと「専門的な知識がないのに大丈夫かな?」と不安を感じる方がいるかもしれませんが、受講生のほとんどが初心者とのことです。機械や工具の名前、取扱い方、金属や材料に関する知識、現場で必要な専門用語、安全に作業を行うための姿勢など、基礎からしっかり学べるので安心して受講できます。年齢も10代から60代までと幅広く、前職もさまざま。女性の受講生も訓練に励んでいます。
 受講生の一人は「みんな再就職を目指す仲間です。お互いにうまくなろうと競い合いますし、失敗した時には励まし合います。」と話します。
 また、ものづくりに興味はあるけど、「溶接ってコワそう」という方は、訓練コース説明会に参加してみましょう。わからないことや不安なことを指導員に質問する機会として、有効に活用してみてください。


訓練コース説明会とは…

  • 訓練を担当する指導員から詳しい訓練内容の説明を受けながら、訓練で使用する教室や実習場などの設備を見学できます。
  • 見学は最大2コースまで可能。あまり興味のないコースでも思わぬ出会いがあるかも!? 積極的な見学がオススメです。
  • 予約不要。説明会当日、直接ポリテクセンター中部に向かえばOK!
    (日程などの詳細は、ポリテクセンター中部のHPでご確認いただくか、電話でお問い合わせください。)
  • 説明会への参加は求職活動実績に認定されます。


受講生の声(伊佐次 ケイ子 さん 40代・女性)



「訓練で、不安が楽しさに」
 以前は事務職をしていました。説明会に参加した際は、建築関係のコースを志望していましたが、コースの説明を受けて溶接に魅力を感じ、このコースを選びました。


 最初は「溶接なんて私にできるだろうか」と不安でしたが、指導員の方の丁寧なアドバイスや仲間の励まし、また、自分の成長が目で見て実感できることから、すぐに楽しさやおもしろさ、何よりやりがいを感じられるようになりました。溶接を経験したことは、私の大きな自信になっています。現在は、ものづくりに携わる地元の企業に就職することを目指しています。自分の経験談をきっかけに、一人でも多くの女性が溶接に興味を持ち、「ものづくり女子」が増えたらうれしいです。
※取材後、溶接職種での再就職が決定したそうです。


伊佐次さんと指導員・小野さん
受講の決め手は、訓練コース説明会。指導員や職員の方のわかりやすい説明で、「ここで学びたい」という思いが芽生えたそうです。



指導員の声(機械系 職業訓練指導員 小野 直樹 さん)



「身につけた技術は一生ものです」
溶接は、様々なものづくりの現場を支えている大切な技術です。最後の差別化された技術分野とも言われ、現在でも大部分は人間の手で作業が行われています。ぜひ、手に職(技術)をつけて新たな道にチャレンジする自信にしましょう。


(令和6年8月取材)


取得できる資格

現場ですぐに活躍するために必要な関連資格が取得できます。

●ガス溶接技能講習
●自由研削といしの取り替え等の業務に係る特別教育
●アーク溶接等の業務に係る特別教育
●動力プレスの金型等の取り付け・取り外し、調整の業務に係る特別教育

DATA

中部職業能力開発促進センター(ポリテクセンター中部)

 所在地:愛知県小牧市下末1636-2
 電 話:0568-79-0512

 職業訓練を通じた求職者支援では、機械系、電気・電子系、居住系の3つの分野で11の訓練を展開。在職者支援ではスキルアップ講座を行い、企業の生産性向上に寄与する取り組みも進めています。

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訓練コース説明会日程