サポート施設におじゃまします!


全国でも希少な短時間・短期間訓練コース
『ものづくりサポート科』に注目

『独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構愛知支部 中部職業能力開発促進センター(愛称:ポリテクセンター中部)』では、求職者支援の取り組みとして、製造業・建設業を中心に11の訓練コースを用意。その中の一つ、『ものづくりサポート科』は、全国でも珍しい短時間訓練コースです。その開設の狙い、訓練内容などを伺いに、ポリテクセンター中部におじゃましました。


1日4時間・4か月 事務職・設計補助を目指す



 『ものづくりサポート科』は、1日4時間・4か月という短時間・短期間の訓練コースです。1日6時間・6か月または7か月間の通常の訓練コースに対して、子育てや介護など、さまざまな家庭の事情で時間的な制約がある方にも訓練が受けやすいコースとして開設されました。訓練は10時15分からスタートし、14時50分に終了。朝夕の時間にゆとりを持った時間割になっています。
 また、本コースの開設は、機械系製造業の現場の声も反映しています。その声とは、技術者をサポートするCADオペレーターや設計補助ができる人材、企業経営の柱となる総務・経理部門を担える人材など、ものづくりを支える業務で活躍できる人材を求めるものでした。


 そこで着目したのが「子育てや介護と両立しながら働きたい」という方々の人材活用です。その考えのもとに、短時間・短期間で必要な技能を学ぶ『ものづくりサポート科』は令和4年度にスタートしました。
 これまで本コースで訓練に取り組んだ方は、20代から60代までの幅広い構成になっています。希望する働き方も、フルタイムの就職をめざす方、パートタイムで働きたい方などさまざま。それぞれの受講生が、総務・経理職をはじめ、2次元CADオペレーター、機械設計補助など、機械系製造業等のサポート業務に就くことをめざし訓練に取り組んでいます。


現場ニーズに応える基礎力を身につける




 『ものづくりサポート科』では、限られた時間の中で、基礎力を磨くことに重点を置いたカリキュラムを採用しています。まずはパソコンの基本操作からはじめ、総務・経理実務、データ管理などの知識・技能を習得します。機械系 CADによる機械図面の作成へとステップアップしていきます。
 2次元CAD操作では、一人ひとりの作業スピード、理解度に合わせて訓練を受けられます。丸や四角など図形を描くことから始まり、その後、寸法を入れるなどのコマンド(コンピュータに与える命令文)を徐々に増やしていきながら基本的な操作を習得し、繰り返し作業を行うことで、基礎力を身につけます。


就職率は約85%(※令和4年度・5年度実績平均)

 コースで学ぶ2次元CADは、製造業でも建設業でも使用されているので、基本的な操作スキルを習得した人材へのニーズは安定しています。
 そうした中、採用企業から高く評価されていることは、時間的な制約がありながら、前向きに訓練に取り組んでいる姿勢です。これを裏付けるように、就職が決定した修了生のうち、機械系製造業の総務・事務、CADオペレーター、機械設計補助の関連就職が約9割を占めています。技能はもちろんですが、職場でも仕事を覚えようと意欲的に取り組む姿勢が評価されているそうです。

指導員の声(機械系 職業訓練指導員 宮下 英明(みやした ひであき)さん)

「学んだ技能を活かして就職につなげてほしい」
 それぞれに目標を持ちここに来た受講生たちは、みんな意欲的で熱心に学んでいます。CADにさわったことがない人も多いので、あまり専門用語を使わず、わかりやすい言葉で指導することを心がけています。受講生が作業をしている際は、一人ひとりの机をまわり、進捗状況を確認しアドバイスを行っています。ぜひ、ここで学んだ技能を就職に結びつけてほしいです。

修了生の声

「訓練を受けたことで職業の選択肢が広がった」
 『ものづくりサポート科』を受講した方々の前職や経歴はさまざま。「初心者でも技術を習得しやすいカリキュラムだった」という感想とともに、「わからないことがあれば指導員の方や周りの仲間が助けてくれて心強かった」という方もいました。
 また、就活について「どうすればいいかわからなかったが、指導員の方や就職アドバイザーの方が相談に乗ってくださり、内定をもらうことができた」や「訓練を受けたことで、より幅広い職業の就活に取り組むことができた」という喜びの声もありました。

採用企業の声

 設計者としての経験はまだ浅いですが、設計の仕事がしたいという気持ちが強く、設計アシスタントとしてCADに取り組む姿勢を評価しています。今後に期待したいです。


訓練はもちろん、就職サポートも充実。

 ポリテクセンター中部では、就職という目標を実現するために『ジョブカード(アルバイト経験、資格・免許など職業能力を示すもの)作成支援』、『三者面談』など、指導員と就職支援アドバイザーが連携し、就職支援を進めています。
 特徴的な取り組みは『求職情報誌』の作成。受講生の希望職務や職歴、取得資格、アピールポイントなどをまとめたリストを愛知県を中心とした約800社に送付しています。企業から直接声がかかって就職に結びついたケースもあるそうです。
 『週1回の企業説明会』、『業界研究』、『就職ガイダンス』の他にも、『履歴書&職務経歴書の添削』など、きめ細くサポートしています。


『求職情報誌』(記載例)… ポリテクセンター中部のホームページでも公開されている


DATA

 中部職業能力開発促進センター(ポリテクセンター中部)

 小牧市下末1636-2

 職業訓練を通じた求職者支援では、機械系、電気・電子系、居住系の3つの分野で11の訓練を展開。在職者支援ではスキルアップ講座を行い、企業の生産性向上に寄与する取り組みも進めています。

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