ポリテクセンター中部
機械部品を加工する技術を習得し、モノづくりの最前線で活躍!
〔機械加工エンジニア科(訓練期間:6か月)〕
『独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構愛知支部 中部職業能力開発促進センター(愛称:ポリテクセンター中部)』では、求職者支援の一環として、製造業や建設業で役立つ実践的な技術を習得できる11の訓練コースを設けています。
今回は、そんなポリテクセンター中部で『機械加工エンジニア科』について取材。具体的な訓練の内容や特徴、学ぶメリットなどを詳しくお聞きしてきました。
現場で使われている機械を使いながら指導を展開
「まるで工場の一角に入り込んだような感覚」――ポリテクセンター中部を訪れてまず感じたのは、施設全体に漂う“実践重視”の空気です。今回見学させていただいたのは、モノづくりの技能者を育成する「機械加工エンジニア科」。整然と並ぶ実習機などを見るだけでも、ここで得られる学びの濃さが伝わってきます。
訓練では、まず製造現場で必要とされる図面の読み取り方や測定技術を学びます。その後、モノづくりの世界で「汎用機」と呼ばれている、レバーやハンドルを手動で動かしながら円筒形状の製品を作る「普通旋盤」や直線形状の加工を行う「フライス盤」の作業方法を学習します。
そして、プログラムを用いて加工を行う「NC旋盤」「マシニングセンタ」の制御方法へと段階的にスキルを高めていきます。最終的には、自分で工程を考え、加工を行う「総合課題」にも取り組むとのこと。半年間という短期間ながらも、現場で即戦力となる力を養えるカリキュラムが組まれています。
※NC旋盤・・・「普通旋盤」をコンピュータ制御した工作機械のこと。
※マシニングセンタ・・・「フライス盤」をコンピュータ制御した工作機械のこと。
NC旋盤を操作する様子
測定技術や図面の読み方を基礎から学習
最終的に複数の加工を用いた
製品づくりに挑戦
五軸加工機も完備。全国屈指の充実した設備が魅力!
五軸加工機(イメージ)
五軸加工機では複雑な形状の加工に対応できる
なかでも注目すべきは、全国でも導入例の少ない「五軸加工機」が備えられている点です。五軸加工機とは、X・Y・Zの3軸に加え、2つの回転軸が加わったマシニングセンタのこと。通常の三軸加工では難しい複雑な形状も加工できるため、習得できれば就職後の大きな強みになるとのこと。ほかにも、普通旋盤・フライス盤、NC旋盤、マシニングセンタなど、充実した機材が整っており、加工技術の基本から応用までを一貫して学べます。
普通旋盤での作業風景
フライス盤で加工を行う様子
担当の方にお話を伺うと、あえて“実際に見ながら行う加工”を重視し、6か月訓練の前半は手動の汎用機を使って実習を行うそうです。「プログラム制御を行う最新のNC旋盤やマシニングセンタでは、安全性などの観点から加工部分がカバーされており、中の様子が見えづらくなっています。そのため、機械加工エンジニア科の訓練では、材料に刃物を当てる感覚や音を体で感じてもらうことを大切にしているんです」と語ってくださいました。こうした工夫が、機械加工の本質を理解する上で大きな意味を持つのだと感じました。
機械加工エンジニア科の受講生のみの限定求人も
過去の受講生のキャリアを聞いてみると、営業や事務、塾講師など、まったく異業種からの挑戦が多いとのこと。年齢層も20代から60代までと幅広く、「未経験からでも安心して学べる」「同じ目標を持った仲間と励まし合える」といった声が多いそうです。
訓練は平日午前9時15分から午後3時50分まで。3か月目以降は、就職支援アドバイザーによる個別のサポートが始まり、応募書類の添削や模擬面接など、実践的な支援も受けられます。さらに、訓練終了後も3か月間の就職支援が続くとのこと。定期的に企業説明会が開催されており、中にはポリテクセンター中部だけに寄せられる限定求人もあるそうで、学びから就職までを一貫して支えてくれる体制が整っていると感じました。
設備の充実ぶりや指導の丁寧さから、受講生にとって大変濃密な半年間が待っているはずだと強く感じました。これから新たな技術の習得に挑戦したい方、「手に職をつけたい」と考えている方にとって、ポリテクセンター中部の「機械加工エンジニア科」での訓練は、新たな大きな一歩を踏み出すためのとても良い機会になりそうです。
指導員の声(機械系 職業訓練指導員 髙橋 拓也さん)
全国屈指の充実した設備を活用し、
質の高いカリキュラムをご用意しています。
私は民間の現場を経験していますが、実際に働く現場では、専門用語を理解していることが前提として求められます。だからこそ、ここでしっかり学んでおくことが後々の安心感につながると思います。
このコースの強みは、なんといっても「設備の充実ぶり」と「実践の多さ」です。正直、工業高校や大学でも、これだけの加工機に触れる機会はなかなかありません。以前、別のポリテクセンターに勤めていたときと比べても、非常に恵まれた環境が整っていると感じます。
アナログの操作が求められる普通旋盤やフライス盤をあえて使い、基本的な手作業の感覚を鍛えるような訓練は、民間の研修ではなかなかできません。それを半年という限られた時間の中で、きちんと身につけてもらえるようカリキュラムを組んでいます。座学だけでは「これが将来何に役立つのか」が見えにくいものですが、職業訓練の良さは「自分の手を動かしながら学べる」ことにあると感じています。
訓練期間中は担任として、一人ひとりと面談を重ねながら、就職までしっかり伴走していきます。ここでの半年が、長く続けられる仕事との出会いにつながるように、全力でサポートしていきたいと思います。
修了生の声 (Sさん/40代後半・男性)
私が機械加工技術科(現:機械加工エンジニア科)で学ぼうと思ったのは、これまでずっと製造業に従事してきたものの、自身の専門知識に物足りなさを感じていたからです。ポリテクセンター中部であれば、座学で身に付く知識だけでなく、実技を通じて幅広く能力向上が図れると考えて受講を決めました。
機械加工技術科(現:機械加工エンジニア科)での訓練は、とても楽しかったですね。これまで触れたことがない加工機の操作などを経験でき、業務に対する自信を深めることができました。また、就職支援アドバイザーの方が履歴書の添削を何度もしてくださるなど、受講者の相談に丁寧に応じてくださったのもとても良かったです。
現在は、自動車精密部品を手掛ける会社で切削加工の機械オペレータとして働いており、トラブル時の対処などにポリテクセンター中部で学んだ知識が役立っています。これからも学んだ知識を活かして長く活躍していきたいです。
事業者の声(日鉄精圧品株式会社 総務部 総務・人事室長 山田 慎一さん)
Sさんはとてもよく働いてくれています。技術面だけでなく人間性やコミュニケーション力の面でも優秀で、今では信頼して仕事を任せられる、組織に欠かせない存在となっています。
ポリテクセンター中部の受講生は、関連分野について一連の訓練を受けているため、ものづくりに関する理解度が高く、基礎がきちんと身に付いている印象です。当社でも人材確保が大きな課題となる中、基礎的な技能・技術を持った受講者の皆さんはとても重宝する人材だと感じています。
Sさんにはぜひ現場でさらに技術に磨きをかけていただき、将来的には周りの人たちを動かしていくような役割を担ってほしいと期待しています。
まずは気軽に説明会へ参加を!
「機械加工エンジニア科」の受講生募集は、毎年8月から9月にかけて実施されます。年に一度の募集で、今年の定員は16名。募集期間中は、週に1回のペースで説明会が開催されており、直接来校すれば参加可能です。
説明会では、担当職員から訓練の内容について詳しく聞けるほか、施設の見学や、過去の就職状況についての説明も受けられます。各地のハローワークで説明会の参加を案内していますので、「気になる」「話を聞いてみたい」と思った方は、ぜひ一度、事前説明会に参加してみてください。
DATA
中部職業能力開発促進センター(ポリテクセンター中部)
所在地:愛知県小牧市下末1636-2
電話:0568-79-0512
ポリテクセンター中部は、再就職を目指す求職者の方に向けて、6〜7か月間の職業訓練を無料(テキスト代等は必要)で実施している厚生労働省所管の独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する職業訓練校です。訓練は「機械」「電気・電子」「居住」の3つの分野にわかれており、現在は計11のコースを開講。尾張地域を中心に、愛知県内外から多くの方が学びに訪れています。技術を身につけて、次のステップへ進むための力をしっかりと養える場所です。
(令和7年6月取材)
