愛知県シルバー人材センター連合会

定年退職後の新たな生きがい
自分らしい働き方を応援します
少子高齢化の進展により、労働力人口の減少が懸念される今日。高齢者が年齢にかかわらず就業し活躍できる社会の推進が重要な課題となっています。
「元気なうちは働き続けたい」と願うシニア世代も増えています。そんな時の相談窓口として身近な存在になるのが各地域に拠点を持つ『シルバー人材センター』です。
そこで、公益社団法人 愛知県シルバー人材センター連合会の業務課長・豊嶋吉武さんに、活動内容や取り組みなどについて伺いました。
いきいきとした生活を楽しむための働き方

定年退職後、再雇用や継続雇用で働き続けたい方やハローワークで職を探し、新たな職場で働きたい方など、働く意欲を持ったシニア世代は増え続けています。
こうした中、「自分らしく余暇を楽しみながら、空き時間を利用して働きたい」という声に応えるのが『シルバー人材センター』の役割です。
シルバー人材センターでは、会員登録(60歳以上)した方を対象に、本人の希望や能力を踏まえた仕事を紹介しています。仕事は『臨時的・短期的な業務(概ね月10日程度以内)』で『軽易な業務(概ね週20時間を超えないこと)』とされているため、月平均の収入は3万円から5万円ほどです。「もっと働きたい、もっと収入を得たい」という人には、ハローワークで見つけたパートタイムの仕事と併用して働くことを提案しているそうです。
また、収入面だけでなく、「家に居るよりも、外で仲間をつくり楽しく過ごしたい。」という思いから、サークル活動やボランティア活動に関心を持ち入会する人もいるそうで、会員一人一人が、健康維持や仲間づくり、地域貢献など、さまざまな目的を持って入会しています。豊嶋さんは「シニア世代の働き方の選択肢として、気軽に働ける利点を有効に活用してもらいたい。」と話します。
シニア世代の活躍の場を幅広く提供
草刈機を使用する除草や剪定などの一定の技能や体力が求められる作業から、受付や管理業務などの体力に関係なく行える業務まで、仕事の内容は多彩です。
各地域のシルバー人材センターでは、学校や体育館、公園、駐輪場などの公共施設に関連した仕事が多いことも特徴の一つ。現在は、人材不足の介護や保育の分野でニーズが高まっているそうです。介護分野では、介護福祉士やヘルパーさんのサポートとして、資格なしでできる配膳やシーツ交換、部屋の清掃、レクリエーションのお手伝いなどの業務があります。保育分野では学童保育や保育園児の見守り補助業務などがあり、お孫さんと接するように楽しく業務にあたっているそうです。
豊嶋さんからは「これまでの経験を活かした仕事、技能や資格がなくてもできる補助作業と、仕事の内容は幅広くあります。一度、説明会などで詳しく聞いてみてください。」とメッセージをいただきました。
【具体的な仕事内容の例】
●屋内外の一般作業(屋外清掃、屋内清掃、除草・草刈り、包装など)
●事務分野(毛筆筆耕、あて名書き、受付事務など)
●管理分野(公民館管理、駐輪場管理、自転車整理、宿日直など)
●折衝・外交分野(広報等の配布、チラシ配り、検針など)
●技能を必要とする分野(ふすま張り、大工仕事、ペンキ塗り、庭木手入れ、和洋裁など)
●専門技術分野(補習教室講師、翻訳・通訳、家庭教師、経理事務、パソコン入力など)
●サービス分野(福祉・家事援助サービス、子育て支援サービス、観光ガイドなど)

【地域に根ざした幅広い活動】
それぞれのシルバー人材センターでは、地域の特性を活かした活動、地域住民の交流を深める活動など、独自の取り組みを積極的に行っています。
(一例)
■農作物の栽培・販売
■手芸品や木工製品などの製作・販売
■食堂や喫茶店などの運営、手作りランチの提供
■カルチャー教室の開講


花植え作業
しめ縄の製作
ハローワークと連携したイベントも開催
愛知県シルバー人材センター連合会では、各地域のシルバー人材センターを周知し、関心を高めていこうと活動を行っています。
その一つがハローワークと共催した『イキイキあいちシルバー人材フェスタ』です。令和6年度は、幸田、豊田、名古屋、小牧、東浦、豊川の順で開催し、予想を上回る来場数を記録しているとのことで、豊川の会場に足を運んでみました。

会場では、シルバー人材センターの「入会説明コーナー」が設置され、あわせて豊川と豊橋のハローワークによる「シニアお仕事フェア」が開催されました。来場者の関心が高く、各コーナーの前には順番を待つ人で席が埋まっていました。



豊川市、豊橋市のシルバー人材センターのブース
企業ブースにも多くの方が足を運んだ
来場された方からは「どんな仕事があるのか、私にできる仕事があるのか、興味があったので参加しました。」、「元気なうちは1日数時間でもいいので働きたいと思い来てみました。」などの声がありました。
シルバー人材センターのコーナーで説明を受けた方は「自分で仕事が選べること、自分の都合に合わせて働けることに魅力を感じました。」と話していました。
また、豊川市シルバー人材センターが実際に紹介している仕事を体験してもらおうと「クラフトカゴ制作体験」のイベントを開催。


参加者は組み立ての手順書を見ながら作業を進め、時々センターの職員からアドバイスをもらいながらクラフトカゴ制作に夢中になっていました。



完成したクラフトカゴ
『いろどり夢マルシェ』のコーナーでは、サークル活動に参加している会員の手作り作品を展示販売。アクセサリーや編み物、バッグ、衣類、木工品など、バラエティー豊かなアイテムが並んでいました。この売上は会員の収入になるそうです。



豊川市や豊橋市のシルバー人材センターのブースでは アクセサリーや小物、洋服などを販売



新城市シルバー人材センターのブースには木工製品やリース飾りなどが並んだ


この他にも、「年金額の調整セミナー」や「シニア向け防災講座」など、身近なテーマを多彩に盛り込み、イベントは大盛況でした。
豊嶋さんは、「全会場とも100名以上の方に来場いただき、関心が高まっていることを実感しています。とても好評なので、シルバー人材センターの活動を広めるために今後も継続していきたい。」と語っていました。
DATA
公益社団法人 愛知県シルバー人材センター連合会(名古屋市中村区竹橋町36番31号)
シルバー人材センターは、『自主・自立、共働・共助』を理念に掲げ、各地域の高齢者が長年培った知識・経験を活かして集まり、助け合いながら働くことによって、社会に参加し、新たな生きがいを見つけていただくことを支援している組織です。愛知県では『名古屋・尾張東』『尾張西』『知多』『西三河』『東三河』の5ブロック制を採用。県内の全市町村にセンターを置き、57区分(名古屋市のみ4区分)で活動しています。この中で、連合会は、各センターのPR活動や会員募集業務の支援を行っています。
現在の会員数は約36,000人、平均年齢は約75歳(令和7年2月現在)。
●センターごとにサークル活動、ボランティア活動にも取り組んでいます。
●就業体験、技能講習も実施しています。