三河高等技術専門校 東三河校

目指そう 住環境の担い手
〔インテリア科:短期課程(6か月)〕
建築分野に特化して人材育成に取り組んできた『東三河高等技術専門校』は、岡崎高等技術専門校(令和7年4月から三河高等技術専門校に名称変更)のリニューアルを機に『三河高等技術専門校東三河校』へと名称を変更。建築系の中でもインテリア分野に特化した訓練校として新たにスタートしました。
今回は、住環境の総合的な知識を身につける『建築総合科 住宅インテリアコース(令和7年4月からインテリア科に名称変更)』におじゃまし、これまで多くの人材を建築業界に送り出してきた指導ノウハウをお聞きしました。
将来の選択肢を広げる幅広い学び
『建築総合科 住宅インテリアコース』で行う訓練では、住宅の内装デザイン、リフォームの計画・設計・施工管理に必要な知識や技能を身につけます。訓練生のほとんどが住宅建築に関する知識のない未経験者。そのことを踏まえ、建築工法や建築用語、建築法規(建ぺい率や容積率、高さ制限など)、インテリアデザインなどの基礎知識を学科で学びながら、実技で技能の習得を目指していきます。
訓練の特徴は、住宅建築に関する幅広い技能が磨けること。就職の幅を広げるために、設計や施工など、様々なスキルを身につけていきます。
設計では、図面の線の引き方やルールを学ぶことからはじめ、設計製図の基礎を習得。CADでは、パソコンの基本操作、そして建築用ソフトを使った実践的な操作方法などを学びます。内装施工では、模擬家屋を使用して床仕上げやクロス貼りなどの技能を習得。インテリア家具製作では、大工道具の使い方をマスターし、そして家づくりにおけるプランの検討に使用される住宅模型も製作します。設計や施工だけでなく、住宅に関わる営業など、さまざまな職種を想定した訓練が、将来の選択肢を広げます。


デザイン実習
製作したインテリア家具(椅子)
また、福祉住環境コーディネーター2級の資格取得を目標にしたカリキュラムを採用。福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害のある人に配慮した住みやすい住環境を提案するアドバイザーです。今後ニーズがさらに高まると予想されることから、就職へのアピールポイントとなっています。例年、訓練生の約8割が受験し、高い合格率をあげているそうです。
デザイン提案に必要なスキルを磨く

住宅の内部のイメージを、立体的にリアルな形で表現した図(パース)
設計やデザインのアイデアを明確に伝えるのに役立つ
訓練生が目指す就職先は工務店や設計事務所、インテリア販売店、内装会社、リフォーム会社など。取引先やお客さんにデザインを提案する仕事において、平面図ではわかりにくい全体のイメージを理解していただくために、建物の外観や室内を立体的に表現した完成予想図(パース)の作成スキルはとても大切です。
この日の訓練でも『デザイン基礎実習』で内装パースを作成していました。訓練生は、キッチンのパースに着色してそれぞれのイメージを表現し、パース作成の技能を磨いていました。


内装施工の技能も体得
次に拝見したのは『内装施工実習』です。この実習では、模擬家屋の解体作業からはじめ、床や壁、天井の組み上げなどを経験します。訓練生が目指す現場管理の仕事では、建築工事の基本的な流れを理解することが必要なため、この訓練が活きてくるそうです。また、内装工事を実際に体験することで、より現実的なリフォームの提案技術を習得できます。


この日、訓練生が取り組んでいたのは壁のクロス貼り。実習板で練習を重ね、モデルハウスで実践します。
壁のサイズに合わせてクロスを切り、のり付け。このクロスを壁に貼り付け、ハケで空気を抜きながら押さえます。最後にヘラをあてて余った部分をカッターで切り取って、完成です。



この作業で一番難しいのが、柄入りのクロス貼り。


隣り合う壁紙から同じ柄を探し、柄がつながるように重ねて貼り付けていきます。訓練生は、クロスをパタパタと何度もめくりながら柄が合っているか微調整していました。
「基本作業から、状況に応じた道具の使い方まで、訓練生一人一人の得意、不得意を見極めながら指導にあたっています」と指導員の藤倉勇さんは話していました。
成長の証をカタチへ、住宅模型製作

学びの集大成となる『総合実習(修了設計)』では、住宅模型を製作。〝将来、自分が住みたい家〟をテーマに、区画整理された宅地に住宅を建てる想定で、訓練生一人一人が、選んだ宅地の建ぺい率や容積率などの建築条件をはじめ、土地が接する道路の方位、隣接する家との距離などの制約を考慮しながら、木造住宅を設計し、模型づくりに挑みます。同時に、プレゼン用資料も製作。住宅模型とともに発表します。住宅模型製作を通して、住宅の基本構造や住宅関連法令などの基本的な知識、建築図面の作成技術、建物の完成イメージを伝えるために必要なプレゼンテーションの手法などの習得度を確認します。
外観をはじめ、内装の素材やカラーリング、家具の選定など、デザインは実にバラエティー豊か。6か月間の訓練生の成長がカタチとなって表れています。


訓練生のそれぞれがデザインした住宅模型
テーブル、椅子、ソファーまで再現された住宅模型


設計・デザインのコンセプトや
間取りなどを記したプレゼン資料
家を建てる際に必要となる申請を想定して作成した資料
資格取得
●丸のこ等の取り扱い作業従事者安全衛生教育修了証
資格取得支援
●福祉住環境コーディネーター2級
取得目標資格
●DIYアドバイザー(実技試験免除)
●インテリアコーディネーター
●建築CAD検定3級
目指す主な職業
●住宅設計補助職
●現場監督・施工従事者
●建築CADオペレーター
●住宅関連営業職・事務職
訓練生の声(30代男性、前職:製品開発)
「ここで得た自信を将来に活かしたい」
転職を考えはじめた中で住宅業界に興味を持ったのは、自分の家を建てたことがきっかけでした。私のこだわりを営業の方、設計士の方たちと話すうちに、自分のやりたい仕事は住宅に関わることだと気づきました。業界の知識がないまま転職活動を行いましたが、好きなだけでは通用しないと実感。そんな時、ハローワークでこの専門校のことを知り、訓練を受けることにしました。
当初は、専門用語や道具の使い方など、知らないことばかりで戸惑いもありましたが、丁寧な指導のおかげでパース作成や内装施工など、楽しく訓練に取り組めています。志望する職業は住宅関連の営業職です。福祉住環境コーディネーター2級にも合格できたので、今はリフォームにも興味を持っています。
指導員からのメッセージ(主任専門員 藤倉 勇さん)

「訓練で将来の選択肢を広げよう」
建築業界の知識がない。CADの経験がない。そうした方は訓練に不安を感じているかもしれませんが、これまでの訓練生も同じです。皆さん一からスタートして就職に結びつけています。ぜひ、住宅業界に興味があれば、見学会に参加してください。ご都合が合わない方には個別での見学相談にも応じています。
将来の選択肢を広げる意味でも、訓練は決してムダになりません。地道に努力する姿勢は、必ず評価されます。
INFORMATION
令和7年4月から、インテリア分野に特化
三河地域における県立高等技術専門校の再編にともない、令和7年4月から『三河高等技術専門校東三河校』へと名称を変更。インテリア分野の訓練を提供する単一科校へリニューアルします。従来の建築総合科普通課程は、三河高等技術専門校へ移設。『住居建築科』として生まれ変わります。

DATA
愛知県立三河高等技術専門校 東三河校(豊川市一宮町上新切33-4)
訓練科
●建築総合科木造建築コース(普通課程・2年)
●建築総合科施工管理コース(普通課程・2年)
●建築総合科住宅インテリアコース(短期課程・6か月)
●建築総合科住宅エクステリアコース(短期課程・6か月)
●在職者を対象として職業訓練「スキルアップ講座」も行っています
*普通課程は令和7年度から三河高等技術専門校(岡崎)へ移設
*建築総合科住宅エクステリアコースは令和6年度をもって募集停止