サポート施設におじゃまします!


産業に変化をもたらす技術『ICT』を身につける
〔ICT生産サポート科(訓練期間:6か月)〕

 『独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構愛知支部 中部職業能力開発促進センター
(愛称:ポリテクセンター中部)』では、求職者支援の取り組みとして、製造業・建設業を
中心に11の訓練コースを用意しています。
 今回は、ポリテクセンター中部で開講されている『ICT生産サポート科』におじゃまし、
製造現場での活用が進むICT(情報通信技術)の知識や活用法を身につけるために、どの
ような訓練が行われているのか拝見しました。


生産現場では欠かせないICT


 ICT(Information and Communication Technologyの略)とは、デジタル化された情報の通信技術であり、インターネットなどを経由して人と人とをつなぎ、情報を伝達する役割を果たしています。
 ICTはスマートフォン、タブレット端末の機器類、電車やバスに乗る際のICカード、ショッピングサイトなど、日常生活のあらゆる場面で使われており、このICTを活用して製造をサポートするシステムの総合的な知識の取得をめざすのが、『ICT生産サポート科』です。



将来の仕事がイメージできる訓練内容


 この訓練科では、6か月の期間で、ICTを活用してものづくりをサポートできる人材の育成を柱としています。具体的には、ホームページの作成、スマホアプリの作成・開発、PLC(設備や機器をコントロールする制御装置)を使ったプログラミング技術の習得をめざします。そして、それらを学ぶ過程の中で、データをデータベースに保存したり、ネットワークでつなげたり、ホームページ作りに必要なプログラミング言語を覚えたりといった関連技術を合わせて学んでいくところに力を入れています。





ネットワーク構築訓練


WEBシステム開発訓練


PLC制御実習



 また、パソコンだけでなく、スマートフォンやPLCなど、製造現場でのICTの活用方法をイメージしやすい内容の訓練を行っているのも特色です。
 『職業訓練は、仕事がイメージできるもの』という考えを意識しているそうです。そこで、訓練では、ホームページ、データベースやPLCなど、訓練生が将来就くであろう仕事をイメージした課題に取り組みます。例えば、『ホームページを作る』という課題では、ホームページはどういった技術からできているのかを知り、その技術を学ぶ。そして、自分でプログラムを書き、動かしてみる。このような流れで訓練を進めていきます。
 『やってみせる、一緒にやる、やってもらう』という三段階の指導方針のもと、指導員と一緒に繰り返し行うことで自信になり、さらに自分で考えて解決することで力になり、技術が身についていくそうです。



『質問しやすい』 学びやすい環境


 おじゃましたのは訓練修了間近。この日は、企業から内定をもらっている訓練生はこれから働く先で従事する内容に、それ以外の人は訓練で学んだことの応用編に取り組んでいました。
 ある訓練生は、スマートフォンの地図アプリに地域の情報が表示されるプログラムを組んでいました。テキストを参考にプログラムを書き、実際に動作させます。想定どおりに動いているか確認し、不具合があればプログラムを修正する。この作業を繰り返し行っていました。







 中には、エラーの原因を指導員とともに検証し、修正を行う訓練生の様子も見受けられました。「課題でつまずくことがあっても、指導員の方に気軽に質問ができるので、疑問をすぐに解決できる。不具合が修正でき、自分がプログラムしたとおりに動いたときは、やっていて楽しいと感じられる」と手ごたえを感じているようでした。
 訓練生の7~8割はプログラミングを学ぶのが初めてで、「基本の文法や構文など基礎から学べるので初心者でも大丈夫。学ぶには恵まれた環境です」と多くの方が話していました。




めざせ! ICT活用者     めざせ! DX推進者


 『ICT生産サポート科』を修了した方の約半数は、プログラマーとして活躍しています。その他には、会社の生産現場で使われるシステムを開発するネットワークエンジニアや、自動車の生産に欠かせないPLC制御の業務に就く方が多いそうです。




 この訓練科のめざすところは、ICTを用いて活躍してもらうこと。
 また、将来的には、DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術の活用を通して生活やビジネスを変革すること)の推進に関われるような人材を育てていきたいとのことです。訓練で身につけた知識・技術は、業務システム、スマートフォンのアプリ開発、インフラのネットワークエンジニア、ホームページの運営・維持など、役立てられる場は多くあるといいます。



訓練生の声(渡部 裕也さん 20代・男性)


「独学から職業訓練に切り替え 夢つかむ」

 渡部さんは、高校卒業後、電気関係の仕事をしていましたが退職。ゲームが好きで、ICT関連に携わりたいという思いから独学でプログラミングを勉強していましたが、インターネットで調べてもわからないことがあり、一人で学ぶことに限界を感じていました。そんなときに、ハローワークで『ICT生産サポート科』の紹介を受け、受講を決めたそうです。



 「6か月の訓練期間なので訓練の進むスピードは速かったと思いますが、わからないことがあれば、わかるまでじっくりと指導員の方に質問できるので、理解が進み、ありがたかったです。
 また、独学だったら途中で挫折してしまってかもしれませんが、他の人と一緒に学べたことで、訓練生同士で教えあったり、就職についての情報を交換したりできました。
 訓練の甲斐あって、IT関連企業への就職が決まりました。就職先の企業はゲーム制作も行っているので、将来的にはゲーム制作に携わりたいです。」



指導員の声(電気・電子系 職業訓練指導員  浦田 宏 さん)


「IT業界を目指すなら 今!」

 訓練生のほとんどがプログラミング未経験者なので、これまでの経験は関係ありません。挑戦したいと思う方はぜひ訓練を受けていただきたいです。
 今後、IT人材は不足するといわれているので、需要は明らかにあり、求人数も増えています。IT業界に挑戦したいという方、挑戦しやすい環境が整っているので、訓練を受けて一緒にがんばっていきましょう。




DATA


中部職業能力開発促進センター(ポリテクセンター中部)

 所在地:愛知県小牧市下末1636-2
 電 話:0568-79-0512

 職業訓練を通じた求職者支援では、機械系、電気・電子系、居住系の3つの分野で11の訓練を展開。在職者支援ではスキル
アップ講座を行い、企業の生産性向上に寄与する取り組みも進めています。

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