三河高等技術専門校
建築分野の幅広い知識・技術を学び、第一線で活躍する技術者へ
〔住居建築科(普通課程:2年)・建築物施工科(短期課程:1年)〕
愛知県立三河高等技術専門校は、三河地域のモノづくり技術者・技能者の養成を目的とした訓練機関です。機械系、金属系、電気系、建築系、造園系の幅広い分野の訓練科を揃え、地域の幅広い人材ニーズに応えています。
今回は、そんな三河高等技術専門校に令和7年度から新たに開講した『住居建築科(普通課程:2年)』と『建築物施工科(短期課程:1年)』を取材。具体的な訓練の内容や特徴などを詳しくお聞きしてきました。
建築業界に必要な知識を基礎から幅広く学べる
愛知県立三河高等技術専門校では、建築業界で活躍する技能者を養成するカリキュラムとして、「住居建築科」と「建築物施工科」の2つの訓練科を設けています。
建築業界の仕事というと、図面を描く設計業務をイメージする人が多いかもしれません。特に高校生などの若い世代は「建築業界にどんな仕事があるのか?」を知らない人がほとんどだと思います。そこで、同校の「住居建築科」「建築物施工科」では、受講生の皆さんにまず「色々な職種があること」を知ってもらうことに重点を置いています。
若年者対象の「住居建築科」
住居建築科は2年間の訓練課程を通じ、技術を駆使して住まいづくりを支える人材の育成を目指しています。住宅建築に携わる技術者に求められる建築の計画・法規・構造・施工などに関する幅広い基礎知識を学び、住宅の施工技術、CAD製図、施工管理に必要な知識・技能を習得します。
同校で開講している他の訓練科との大きな違いは、中学校卒業以上の方を対象にしている点です。高校卒業以上に限定するのではなく、より幅広い人材を対象にカリキュラムが組まれており、建築業界で活躍する未来の技術者を基礎からじっくり養成していくところに特徴があります。
広々とした実習場を完備
実習では木材の加工技術などを習得
1年次の午前中は、主に座学を中心とした授業を行っています。二級建築士の資格取得に向けたテキストを教材として使用し、建築に関する基礎知識を幅広く習得することを目指します。また、午後からは木材加工、CAD操作、図面作成など、実技重視の実践的な授業を行っています。
実践的なスキルを学べる型枠施工実習
コンクリートを流し込むための型枠作り実習も
就職企業とのミスマッチを減らす「就労型実習」
2年次になると、より専門的な学びを深めたうえで、後半から「就労型実習」を実施しています。内定を得た就職先の企業に出向き、給料を得ながら実際の業務を経験するというもので、就職後のミスマッチを減らすのが主な狙いです。
住居建築科の大きな特徴の一つは、修了後に二級建築士受験のための学歴要件を満たすことができる点です。「2年間の授業でじっくり学び、修了後の資格取得につなげてもらえれば。」と職業訓練指導員の山田大雅さんは話します。そのほか、在校中にさまざまな資格試験を受けることができ、二級建築施工管理技士などの実務に役立つ資格の取得を目指すことが可能です。
「資格を取得していれば、将来的に転職を考える際などにもきっと役立つはずです。電気工事士や建築CAD検定などにもトライできますので、ぜひ在校中にさまざまな資格の取得にチャレンジしてもらいたいと考えています。」と山田さんは話します。
離転職者対象の「建築物施工科」
木工の基礎 さしがねで線を引く
鉋(かんな)掛けの技術なども基礎から習得できる
CAD検定取得に向けた図面作成の実習も
令和7年度から新たに開設された「建築物施工科」は、1年間の短期課程となっています。新卒を含む求職者が対象となっており、住居建築科と同様、CAD実習、各種施工実習、鉄筋施工実習、型枠施工実習などを通じて、施工技術者に求められる建築の幅広い基礎知識の習得を目指します。
なお、建築・建設業界では昨今、BIM化の流れが顕著になっています。BIMとは、コンピュータ上に作成した建物の3次元モデルに材料の種類やコスト、スケジュールなどの情報を統合し、設計・施工・維持管理を一元的に管理する技術のこと。そこで、住居建築科・建築物施工科では、ともにBIMに対応するための新たな学習カリキュラムを積極的に取り入れているそうです。
受講者の希望に寄り添いながら就職先を検討
令和6年に完成した真新しい実習棟
現在、住居建築科で学んでいるのは1年生が7名、2年生が3名。中学や高校を卒業後すぐに入校した受講者がいる一方で、すでに就業経験のある社会人の方も在籍しています。建築物施工科では、社会人経験のある12名が受講。年齢は30~50代とさまざまで、女性も学んでいます。
「いろんな企業とお付き合いがありますので、受講者の皆さんの希望を聞きながら就職先を紹介できるのも特徴です。」と山田さん。「気を付けているのは、あまり押し付けにならないようにすること。人手不足が深刻化しているため、企業からの求人が多い状況です。そのため、本人の意思を尊重しながら、就職先選びを一緒に考えています。」
職業訓練指導員の声 (訓練課 専門員 山田 大雅さん)
「まずは建設業界にどんな仕事があるのかを知ってもらう」
建築工事やインフラ整備など大規模な構造物を作り上げる建設業では、工事作業に許可が必要な業種が29業種あります。また、設計、測量、調査、コンサルタント、非破壊検査(構造物を壊さずに内部の劣化や欠陥を調べる検査)などの関連業種もあり、さまざまな専門分野の技術者が活躍しています。
住居建築科・建築物施工科では、こうした各分野のプロが集結して現場の業務を進めていることを知り、幅広い選択肢の中から自分の将来像をイメージしてもらえたらと考えています。そこで、さまざまな業種の職人さんたちが集まる建築関係のフェアなどにも参加しながら、興味のある仕事を見つけてもらう機会を積極的に設けるようにしています。
建築業界で活躍するにはさまざまな資格が必要ですが、社会人として忙しく働いていると、勉強時間を確保するのはなかなか難しいと思います。そこで、在校中に少しでも資格取得やその準備ができるようにカリキュラムを組んでいますので、当校での学びを活かして建築業界で活躍できることを期待しています。
訓練生の声 (杉浦さん/20代・男性)
私が訓練を受けようと思ったのは、二級建築士の資格を取得したかったからです。以前は調理関係の仕事をしており、建築の仕事はまったくの未経験だったので、建築関係の仕事に就くためにまずは資格を取りたいと考えました。訓練を修了すれば受験要件が満たされるため、ハローワークの紹介を通じて受講することを決めました。
建築業界の魅力は、未経験の人にもチャンスがあること。転職を考えるにあたってはIT業界なども検討したのですが、それ以上に人手不足が深刻化して若手が減っているのが建築業界だと感じ、「需要と供給のバランスを考えると、今後も活躍の場がたくさんありそうだ。」と思ってこの世界に飛び込むことを決めました。
住居建築科では、自分のやりたいことに挑戦できるのが良いところだと感じます。同級生の中には、先生方のサポートを受けて「若年者ものづくり競技大会」にチャレンジしている人もいます。昨日も先生に測量の分からない部分を詳しく聞いていたのですが、何でも気兼ねなく質問でき、丁寧に教えてもらえるのでとても助かっています。やる気のある人はどんどん新しい技術を身に付けていけるのでぜひおすすめしたいですね。
訓練修了後は大工として働く予定です。今後も二級建築士の取得を目指して勉強しつつ、建築業界で幅広く活躍できる人材に成長していきたいです!
見学説明会を随時開催!
見学説明会では、担当職員から訓練の内容について詳しく聞けるほか、施設の見学や、過去の就職状況についての説明も受けられます。ハローワークでも参加を案内していますので、まずは見学説明会に参加し、受講に関して気になることを質問してみてください。
DATA
愛知県立三河高等技術専門校(岡崎市美合町字平端24番地)
訓練科
機械技術科(普通課程・2年)〔令和8年度からモノづくりチャレンジ科へリニューアル〕
住居建築科(普通課程・2年)
ロボットシステム科(普通課程・1年)
モノづくりチャレンジ科(普通課程・1年)〔令和8年度 機械技術科からリニューアル〕
電気工事科(短期課程・1年)
建築物施工科(短期課程・1年)
総合造園科(短期課程・1年)
金属加工科(短期課程・6か月)〔令和8年度からメタルクラフト科へ科名変更〕
3Dモデリング科(短期課程・6か月)
●在職者を対象として職業訓練「スキルアップ講座」、知的障害者を対象とした「総合実務科(1年)」も行っています。
(令和7年10月取材)
